パナソニックの人 野村 晋矢

仕事場と野村 晋矢さん

施工管理を通して、
笑顔の街づくりに貢献したい。

施工エンジニア 野村 晋矢

2つ下の弟と遊ぶ時は、いつもブロックで何かをつくった。自分が住んでみたい3階建ての家だったり、友だちの家やさまざまな施設がある大きな街をつくったりするのがたのしかった。「施設と言っても、大きなブロックを消防署とか、警察署とかってことにしてただけですけど。でも、そこに住んでいるみんなに不公平にならないよう、すごく考えて配置していましたね」。そして、その日の理想の家や街ができると人形を並べて、みんなが笑顔でくらしている様子を空想した。

中学生になって興味を持ったのはパソコンだった。そして大学は迷わず情報工学部を選び、プログラミングと情報通信を学んだ。「特に無線通信にすごく可能性を感じて学んでいました。これが進化したら、世の中はもっともっと豊かになるなって。だから就職活動の時も、IT系のプログラミングや無線の分野の会社を探していました」。

笑顔で話す野村さん

そんななか、たまたま見つけたのがパナソニックだった。あまりITのイメージがない会社だけど、一度話くらいは聞いてみようか。会社説明会に参加したのは、ほんの軽い気持ちだった。「そこで、パナソニックはIT企業としてもかなり大きな会社であることをはじめて知りました。あと、その時来ていた技術営業の方のお話がすごくおもしろくて。私の相談にも親身に乗ってくれましたし、『施工管理』という仕事のことも教えてくれたんです」。施工管理は、書類作成から予算や安全の管理、現場での施工まで、工事に関するあらゆることをマネジメントする仕事であるが、いろんな業種の人と協力してひとつのものをつくるということが、自分に合っているように思えた。さらに、パナソニックではインフラ関連の機器なども扱えると聞いて、ぐっと興味がわいた。人々の安全で安心なくらしづくりに貢献できることに、やりがいを感じた。気が付くと、パナソニックは野村の働きたい会社になっていた。

入社して半年ほど研修を受けたあと、希望通り監視カメラや無線のシステムの施工管理をする現在の部署に配属された。いくつかの仕事のサポートと工事の担当をしてから、野村は新設の高速道路で移動無線設備の工事を担当することになった。「これは簡単に言うと、高速道路のトンネルに緊急時用の無線のシステムを取り付ける工事で、それをマネジメントするのが私の仕事です。まずは、お客さまのご要望をもとに施工計画書を作成、そのあとは現場で既設設備が図面通りかどうかを調査。それをもとに機器をどこにつけるかを決め、作業がはじまってからは手順通りに行われているかの見届けや進捗確認を行います」。

社内で同僚と打ち合わせをする野村さん

この仕事は施工をいかに円滑に、そして安全に進めるかだけでなく、お客さまへの報告や確認も重要なのだが、野村はここで大きな失敗をする。「無線は障害物に弱く、ちょっとした構造物が影響して電波が届かなくなるため、現場に行ってみたら想定通りにいかないなんてことがよくあります。その時も電波が通らないエリアがあったので、お客さまにその旨を報告したのですが、『別のアンテナだったらどういう風にカバーできるのか?』『そもそも、どういうシステムで電波が広がってるの?』など、いろいろ聞かれて。お客さまからしたら当然の質問。事前に想定できたはずなのに、報告に手一杯で何も答えることができませんでした。頭が真っ白になりました」。

しかし、落ち込んでばかりではいられない。会社に戻るとすぐに上司やスタッフ、協力業者に集まってもらい、今日お客さまに聞かれたことの答えを、そして今後お客さまに聞かれるであろう質問とその答えを求めて、話し合った。話すたびに考えるべきことに気付き、打ち合わせは実に6回にも及んだ。抱え切れないほどの資料を用意して臨んだ第2回調査報告会は、自分でも驚くほどすらすら質問に答えることができた。最後にお客さまから「がんばりましたね」と言われた時は、胸の奥が熱くなった。

数カ月後、完成したばかりの高速道路を走りながら、自分たちが取り付けた機器を見てまわった。「あれは自分たちがつくったんだ」と思ったら、自らの仕事を心から誇らしく思えた。

同僚に向けて、監視カメラシステムについて説明する野村さん

今、野村は違う高速道路で、監視カメラシステムの設置を担当している。そして自分の今後についてこんなことを思っている。「前回の無線システム、そして今回の監視カメラの設置も、全体の仕事の一部でしかありません。もっと現場で、ベテランの現場代理人や協力業者、時にはお客さまから施工のことを学び、もっと自由に現場を動かせるようになりたいです。そして、みんなの気付かないところで、世の中の安全や安心をしっかり支えていきたい。やっぱり誰かのためになるって気分いいですから」。野村の頭のなかには、あの頃と同じようにみんなが笑顔でくらす街が広がっている。

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