パナソニックの人 大久保 浩介

仕事場と大久保 浩介さん

事業責任者を参謀役として支え、
経営に貢献したい。

法務 大久保 浩介

弁護士から法学者の道へ。大久保浩介は、大学4年時に進路を変えた。「司法試験の勉強をしているうちに、同じ法律でも、学術研究の方向に関心が向いていったんです。大学院に進み、アメリカやフランス、ドイツなど先進国の法制度を研究することで、日本の立法政策について考えてみたいと思いました」。その後、大学院で研究を続けるなか、講座で「企業法務」と出会った。法律の専門知識を使ってビジネスを支える実務の道。大久保にとって、法律に携わる第3の道に心惹かれるものを感じた。その頃、ちょうどパナソニックグループのインターンシップの募集があり、「物は試し」と飛び込んだ。パナソニックグループに行ってみると、まず工場の敷地の広さと、そこで働いている人の多さに圧倒された。そしてそのビジネス活動を、限られた法律の専門家がリスク対応も含めて支えていることを知った。「なんだか、こっちの方がやりがいが大きそうだなと思いました」。紆余曲折の末、大久保の進路は定まった。

社内で打ち合わせをする大久保さん

入社後、パナソニック株式会社のくらし空間に関する商材を扱う事業の海外法務グループに配属。当時は国内法務で基礎を学んでから海外法務というケースが多いなか、異例のスタートだった。「当時、国内法務では、コンプライアンスや契約など、それぞれ部署が分かれていたのですが、海外法務は部署が分かれておらず全て担当するため、幅広い知識を短期間で覚え込む必要があり、大変でした。でも、私には多くの経験を積むことができるワクワク感の方が大きかったですね」。

その後、電子部品やモータを扱う事業、サプライチェーンや公共サービスなどに向けたソリューションを扱う事業へ異動し、国内・海外の法務業務を担当。この頃には、ひとりで案件をこなすことができるようになり、大型プロジェクトの主担当の仕事も増えていった。なかでもベルギーにある大手物流ソリューション会社のM&A案件は、大久保を大きく成長させる仕事となった。担当の事業部門が、パソコンや業務端末などハード中心の事業から、ソフト等を使ったソリューション事業に軸足を移そうとしている時期で、その先駆けとなる案件だった。「私は、事業部門の新しいチャレンジに強く共感し、ぜひ買収を実現したいと思いました。一方、買収額も数百億円単位と、当社としては高額でしたので事業を守るガーディアンとして、リスクを慎重に見極め、契約等でリスクヘッジするように心がけました」。

笑顔で話す大久保さん

海外M&Aならではの難しさも経験した。「上場会社でしたので、少数の株主の権利を守る現地の法律があるため、その対応に苦労しました。現地の弁護士さんにアドバイスをいただき、現地の証券会社と連携して何とか乗り切ることができました」。そして、契約交渉はギリギリまで粘り、パナソニックにとってリスクの少ない条件で合意した。大久保は、この仕事から多くのことを学んだ。「その国の法律の知識はもちろん、関連分野の税法やファイナンスなど幅広い知見、さらに交渉力、調整力、コミュニケーション力など総合的なヒューマンスキルが求められることを知りました。また、その国の文化や、ものの考え方を理解し、現地の社員との信頼関係を築くことの大切さにも気付かされました。買収後は、同じベクトルを持つ仲間としてやっていくわけですから」。

大久保は、この仕事を終えると、社内の派遣留学制度に応募し、米国ロースクール留学(シカゴ)を経験。そして、世界中から集まる優秀な人材と切磋琢磨しながら、法律専門家としてのスキル、国際コミュニケーション能力、さらにはニューヨーク州の司法試験合格と、実に多くのものを手にして帰国した。

現在は、パナソニック インダストリー株式会社 リーガルセンターに所属。ファクトリーオートメーション事業に対し、契約や、M&A/アライアンス、コンプライアンスなどを中心に、法務案件全般の支援を行っている。「この仕事は、自分の専門性を武器に、事業を健全な形で実現し、経営貢献ができることが大きな魅力です。また、M&A/アライアンスのような戦略案件では、厳しい交渉場面もあり心が折れそうな時もありますが、案件をリードする高揚感が大きく、人間的にも成長を実感することができ、とてもやりがいを感じています」と微笑んだ。

打ち合わせ中に笑顔で話す大久保さん

入社14年目。法務の仕事一筋に歩んで来た大久保には、野望がある。「私には、目標にしている先輩がいます。その方は、元上司で、法律のみならず、実にさまざまな分野に精通され、経営層が集まる会議でも淀みなく発言され存在感を放っていました。そんな先輩に、早く追いつけるよう、自分の専門性やスキルの幅を広げ、成長して行きたいです。そして、いつか、事業責任者を参謀役として支え、経営に直接的に貢献できるようになりたいと思っています」と目を輝かせた。飽くなき向上心を胸に、大久保は今日も走り続ける。

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