パナソニックの#はたらくってなんだろう 実は、そこにもパナソニック。普段の暮らしを裏から支える、BtoB領域でデザインする魅力

笑顔で立つ中内さん、阿達さん、赤松さん

2022年4月に事業会社制に移行した、パナソニックグループ。パナソニックグループのイメージは家電のイメージが強いかもしれませんが、パナソニックグループはBtoB領域も幅広く行っており、家や街、社会の様々な場所で製品が使われており、また、製品のみならず、社会課題に対してのソリューションも提供しています。

今回は、パナソニックグループのBtoB領域において、UI/UXデザイナーとして活躍されている3名に、BtoB領域でデザインに携わる魅力を伺いました。

2023年06月

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プロフィール

  • 赤松 かほる

    パナソニック株式会社 エレクトリックワークス(EW)社 デザインセンターサービスデザイン課 課長

    2007年に携帯電話メーカーから松下電工に転職。企画者や技術者と連携し、リサーチから顧客やビジネスの課題を定義、アイデアを創出、具体化し、くらし空間からビジネス空間設備のUI/UXデザインを担当。

    赤松 かほるさんのプロフィール画像
  • 阿達 裕也

    パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部 ストラテジーデザイン部 プロダクトデザイン課

    光学メーカーから2019年にパナソニック コネクトに転職。デザインシステムの整備や、多岐にわたる業務用ソフトウェアのUIUXに取り組む。

    阿達 裕也さんのプロフィール画像
  • 中内 菜都花

    パナソニック株式会社 空質空調社 デザインセンター UXデザイン課

    新卒でパナソニックに入社。空質空調社のBtoBの空調の管理システムやUIUXのディレクションなどを担当。リサーチを重視し、利用者の心の特徴を探り、新たなサービス事業創出・アウトプットを支援している。

    中内 菜都花さんのプロフィール画像

*パナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下、EW社)【事業内容】照明器具、配線器具、エネルギーマネジメント、燃料電池
*パナソニック コネクト株式会社(以下、パナソニック コネクト)【事業内容】サプライチェーン、公共サービス、生活インフラ、エンタメ向けソリューション
*パナソニック株式会社 空質空調社(以下、空質空調社)【事業内容】空質家電、空調機器、換気送風機器、環境エンジニアリング、温水システム

目次

  1. リビングから空港までもプロトタイプ
  2. 手探りで、難しい。だから、面白い。
  3. 部署を超えた協力で、徹底的なユーザー視点を貫く
  4. 誰もがデザイナーであり、ユーザーであるような組織へ

リビングから空港までもプロトタイプ

まず、皆さんの入社理由について教えてください。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

前職では、携帯電話を開発していたのですが、事業会社の決まったルールの中で作ることが多かったんですね。一方、弊社は、物自体をゼロから開発することができる。だから、お客様にとって本当にいいものを企画段階から提案できる。それを魅力に感じました。

また、弊社には市場でのシェアの高い商品もたくさんあります。そのため、世の中の暮らしを良い方向に変える機会が多い場所だと感じました。

椅子に座って話す赤松さん

阿達さんのプロフィール画像
阿達

以前は光学メーカーで、カメラのUIデザインやその周辺のサービスデザインをしていました。働く中で一つの分野だけに携わり続けると、視野が狭くなってしまうと思っていたころ、BtoBのプロジェクトに参加したことがありました。
BtoBは自分の知らない世界が多くあるということが新鮮で、プロジェクトの度に視野が広がって面白いと感じました。転職の際に弊社を選んだのは、パナソニックという大きい船だからこそいろいろな領域に挑戦できるのではないかと思えたからです。

中内さんのプロフィール画像
中内

私は、お二人と違って新卒からパナソニックで働いています。新卒の時、いろんなアルバイトを経験した中で、長く働くなら尊敬できる人と働きたいなと思っていて。産学連携の活動の中でお会いしたパナソニックのデザイナー方々がとても素敵だったことから入社を決めました。

各社の業務内容や、皆さんが印象に残っているプロジェクトについて教えてください。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

EW社は、電気設備とデジタル技術を核として、住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設など、様々な空間にまつわる事業を展開しています。

私は、マンションシステムや照明、配線器具など暮らしのインフラを支える設備の事業に関わるUIデザインを担当しています。業務範囲としては、リサーチから商品開発まで一貫して関わっています。

例えば、実際にお客様のお宅まで行き、暮らしの中でインターホンがどう使用されているのかお話を聞いたり、使用シーンを観察し潜在的なニーズを抽出しながら、インターホンのあるべき姿を考えていきます。その後は、決まった要件をもとに企画とエンジニアとデザイナーの三者で実際の商品にしていきます。

EW社ならではだと思うのが、新価値提案やニーズ検証のために、部屋の空間を仮設で作ることもあること。提案を体験してもらうことで、その良さを伝えています。

流石に実際の空間まで作る提案となると年一回ぐらいの頻度ですが、プロトタイピングは頻繁に行っています。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

パナソニック コネクトは、「現場から社会を動かし未来へつなぐ」と言うパーパスを掲げ、ビジネスにおける多様な「現場」のプロセスを改革する「現場プロセスイノベーション」を通じてお客様の経営課題を解決し、社会に貢献する会社です。

私が特に印象に残っているのは、空港会社様向けに提案を行ったプロジェクトです。
司令室にいる各管轄マネージャーと、現場スタッフのコミュニケーションを円滑にするシステムでした。司令室にある何台もの大型スクリーンと、現場スタッフが使うアプリが連動して動きます。
架空の空港をモデルにしたデモンストレーションだったのですが、リアリティを出すため空港施設全体のフロアマップまで考えました。
パナソニックならではの大規模な提案で、視野が広がる印象深いプロジェクトでした。

中内さんのプロフィール画像
中内

空質空調社は「空気から、未来を変える」をコンセプトに換気送風機器、空質家電、空調機器、環境エンジニアリング、温水システムなど、空気にまつわるあらゆる領域に関わっています。

私は業務用の空調機器を管理するためのソフトウェアを作っています。空質空調社は専門性が高く、限られたユーザーに向けたソフトウェアやプロダクトのデザインをすることが多いのですが、専門性が高いため使える人が限られていることが業界の課題になっています。そのため、業務経験が少ない人でもわかりやすくなるようにデザインすることを大切にしています。

専門性の高いプロダクトを一括管理できるシステムのUI/UXを考えるのは、空質空調社でデザインする魅力の一つだと思います。

先ほど、赤松さんから、デザイナーがリサーチの段階から入るというお話がありましたが、他の二社はどういった段階から関わるのでしょうか。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

パナソニック コネクトのUI/UXデザイナーの場合は、一旦企画が固まった段階から入ることが多いです。ただ、企画の切り口を考え直した方が良い場合はこちらから提案することは可能です。それを繰り返していると、企画の段階から入ることも出てきますね。

中内さんのプロフィール画像
中内

空質空調社では、企画の上流から関わることが多いですね。そもそも、今必要なプロダクトってどんなものだっけ、という企画を考えるところから、ユーザーが使いやすいUIやUXについて、事業者を巻き込んでデザインするところまで一貫して関わっています。

手探りで、難しい。だから、面白い。

皆さんが携わっているのはBtoBかつリアルのプロダクトのUIやUXですが、この領域における仕事のやりがいや面白さとはどんなものでしょうか。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

BtoBの商品は、各領域の専門の方がユーザーになるので、特殊な仕様が多くなります。そのため、プロジェクトの開始時点では、私たちが検討したものが、お客さんにとって本当に価値があるのか正直わからないことも多いです。ターゲットの仕事内容を紐解きながら、ユーザーについての深堀りを通して企画や仕様の方向性を決めていきます。

そのため、毎回産みの苦しみがあります。ですが、それを乗り越えて「こういうのが欲しかった」と言う声を聞く度に、やってよかったなと思います。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

同意です。赤松さんのおっしゃっていたことが、まさにBtoBのやりがいだと思います。加えて、顧客の業種が毎回全然違うので、アプローチ方法も都度変えていく必要があることも面白さの一つかと思います。

中内さんのプロフィール画像
中内

お二人と重なりますが、プロダクトを作る上で、自分たちがユーザーではない商品を理解するところから始まり、お客さんを巻き込みながらたくさんの仮説を立てる必要があります。

慣れ親しんだプロダクトではないので、いつも仮説を立てる難しさを感じますが、考えた仮説に対してお客さんが「こういうのが欲しかった」と喜んでくれる瞬間には、やりがいを感じます。

笑顔の中内さん

ちなみに、皆さんがBtoBの課題に取り組み続けている理由はどんなところにあるのでしょう。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

大人版のキッザニアみたいなんですよね。こんなお仕事があるんだとか、普通に生きてると知らなかった世界を知れるのは、BtoB事業に関わる面白さだと思います。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

弊社の関わるBtoBの領域は幅広くて、ニッチなものも多いんです。だから、常に勉強が必要ですが、毎回新しい発見にワクワクしますし、各領域で活躍する方のために頑張ろうと思えるんです。

中内さんのプロフィール画像
中内

勉強し続けることの重要性は本当にありますよね。BtoBはニッチな商材を扱うことが多く、そのジャンルにとってのベストを自分たちで導き出す必要があります。それをリファレンスが少ない状態で探りながら作っていくことに個人的に面白さを感じています。

部署を超えた協力で、徹底的なユーザー視点を貫く

それぞれの会社の空気や一緒に働く人の共通点などについて教えてください。

中内さんのプロフィール画像
中内

空質空調社では上の人と下の人との関係がとても近くてフラットな組織だと感じています。役職的に偉い人が結構フランクで、すごく話しかけやすいです。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

EW社も役職を超えてフランクですね。この会社に入る前は、課長部長ってすこし遠い存在のイメージでしたが、弊社の場合より身近な存在だと感じています。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

考えていることの視座が高く、尊敬できる人ばかりですね。月に一回、メンバーが重要なプロジェクトを共有する場があるのですが、いつもデザインのパワーやデザインの役割の広がりを周りから学べます。

パナソニック全体のデザイナーの共通点、傾向などありますか?

阿達さんのプロフィール画像
阿達

デザイナーとして当たり前かもしれませんが、ユーザー第一に考えていることですね。ユーザー視点が抜け落ちてる企画にデザイナーがジョインした時に、舵を取って企画の意図やユーザー目線で考えられているかなど、納得するまで何度も問い直すことがあります。

笑顔でPCに向かう阿達さん

皆さんそれぞれ違う部署、会社ですが、それらを超えてのコミュニケーションなどはありますか?

赤松さんのプロフィール画像
赤松

デザイナーとして誰かの役に立ちたい、困っていたら助けたいという考えの人が多いので、相談し合うことはよくあります。担当商品は違ってもUI制作で共通の悩むポイントがあるので。特に、パナソニックのデザインシステムができて以降、助け合いの場が多くなりました。

中内さんのプロフィール画像
中内

つい先日も、今開発しているソフトウェアのことで、阿達さんに相談させていただきました。話しかけても良いという空気があるのはもちろん、横の連携によってお互いの仕事内容を把握できているというのもあります。時には質問したこと以上のアドバイスが返ってくることもあって、本当に助かっています。

誰もがデザイナーであり、ユーザーであるような組織へ

それぞれの会社で働く上で、どんな人が向いているか教えてください。

中内さんのプロフィール画像
中内

コミュニケーションをとることが得意だと良いのかなと思います。BtoBの領域はステークホルダーも多く、関係者も多岐にわたるので、合意形成が得意だと活躍しやすいと思います。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

答えのないことに向き合う機会が多いので、企画の解像度が最初は低かったり、どこに向かっているか曖昧という場面もあります。プロダクトが提供する価値の本質に自分からグイグイ近づいていける人が向いてると思いますね。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

常に学び続けられる人が向いていると思います。以前は、GUIデザインだけできれば良かったところが、ユーザー体験を考えたり、ワークショップを設計したりと、年々デザインに求められる領域が増えています。おそらく今後もデザインに求められる役割は増えていくでしょう。なので、常に好奇心を持って学び続けられる人だと向いているのかなと思います。

パナソニックでこれから挑戦していきたいことを教えてください。

赤松さんのプロフィール画像
赤松

最近だと国内だけではなく海外向けのプロダクトも増えてきているため、国外に対しても良いものを提供したいですね。やっぱり暮らしに関わる領域なので、ちゃんとその国の文脈にフィットしたものを、現地の社員の方と連携しながら、生の声を聞いて、作っていきたいですね。

阿達さんのプロフィール画像
阿達

開発されるソフトウェアの数が多いので、デザイナーが関与しなくても高いクオリティのソフトウェア開発ができるように。デザインシステムの浸透や勉強会などを通じて実現したいです。デザイナーの稼働量によらず、良いものが世の中に増えるようにしていきたいです。

中内さんのプロフィール画像
中内

二つあります。一つ目は、目の前の課題を解決するだけでなく、未来を見据えた提案ができるようになること。BtoBの専門性ある領域の担い手が減っている業界もある中、その未来を踏まえてどういうことを提供するべきかは考えないといけないと思っています。

二つ目は、リサーチ力の強化。対象のことをどれだけ自分ごと化して理解できているかで、商品の質は変わってきます。自分が一緒に顧客と働くとか、プロダクトを使っているシーンにずっと張り付いてみるとか、自分がユーザーになれるような機会を増やし、本質的な提案をしたいと思います。

椅子に座り話す阿達さん、赤松さん、中内さん、

出展:ReDesigner Magazine・2023年4月発行より転載

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*所属・内容等は取材当時のものです。

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