パナソニックの人 齋藤 友未

仕事場と齋藤 友未さん

照明と空間を組み合わせ、
くらしに新たな価値を生みだしたい。

設計開発 齋藤 友未

「星が好きでした。特にペルセウス座流星群。夜、家の屋根に上って流れる星を数えるのが夏休みの思い出です」。子どもの頃をそうふり返る齋藤友未。きっかけは家族そろって流星群を見に行ったことだ。といっても近所の公園。持参した寝袋から顔だけ出して光り輝く夜空を見上げる。映像では味わえない、リアルな夜の天体ショーに胸が踊った。以来、星や宇宙のことを一生懸命調べ、屋根にも幾度となく上った。実は物理を専攻する人の大半が「星好き」からスタートし、宇宙物理学などのいろいろな分野の物理学を学んでそれぞれの専攻に分かれていくという。

笑顔の齋藤 友未さん

そんな王道を齋藤も歩み、大学で物理学を専攻した。「世の中すべての物理現象が数式で説明できることが魅力。授業はほとんど数学でしたが、意味を理解できたときの喜びはクセになります」。休み時間も惜しんで勉強をたのしんだ齋藤。大学院では目には見えない光、主に赤外線に関わる専門的な研究をした。当然、卒業後の進路に研究分野を活かすことも考えたが、長く働くならくらしに密着したものに関わりたいと思った。こんなところに物理学が応用されている、そんなことを友人にちょっと自慢したい気持ちもあったし、仕事の成果が身近に見える実感もほしかった。

齋藤の思いにフィットしたのが、パナソニックだった。家電だけでなく、ビジネスや社会に関わる幅広い分野に携わっており、新しい技術を生む大きな可能性を感じた。またインターンや就職活動で関わった方々の温かみのある人柄に接するなかで、「ものをつくる前に人をつくる」という企業理念を体現していると実感。「そんな人たちが集まっているからこそ、人のくらしを考え抜いた商品をつくることができる。」そう確信し、就職を決めた。

天井に設置された照明機材

たとえば物理学を仕事に結びつけるなら、トイレに興味があった。液体力学からどういう水流が汚れを効率よく落とすかなど、考えるとたのしい。他にもあれこれ予想したが、入社して配属されたのはライティング事業部。おもしろそう。「光」に縁がある。以来、熱解析や色フィルターの開発、波長設計、空間演出などさまざまなテーマに携わってきたが、どれも照明にとって欠かせない要素だ。特に色フィルターの開発は強く印象に残っているという。お客さまそれぞれの好みに合ったLED照明の色を提供するため色フィルターによるカスタム対応をめざしていたが、フィルターに採用する新たな材料を研究開発するのが課題だった。この開発は物理現象を利用し製品として具現化する、とてもワクワクするものだった。

照明に照らされた壁と齋藤 友未さん

現在、齋藤は照明をただ照らすだけでなく、付加価値をつける研究をしている。照明を「必要だから」ではなく「欲しいから」買うものにできないか。他の技術要素との連携も重要だ。波長を変えたり、色を変えたり、音を加えたり、空間を組み合わせてみたり...これまでの常識を覆すものをつくろうと試行錯誤している。「よりたのしく、より快適に、照明でくらしにイノベーションをおこし、新たな文化をつくりたい。挑戦しがいのある夢です」。

終始、笑顔で話す齋藤は大切にしているフレーズがある。「いいことがあって笑顔になるのではなく、笑顔でいるからいいことがおこる」。この言葉に触れて以来、意識が変わった。日々のくらしや仕事のなかに、たのしさを見つけるのがうまくなったという。笑顔の先には、きっと夢がかなっているはずだ。

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