パナソニックの人 間井谷 洋祐

仕事場と間井谷 洋祐さん

AIやIoTを駆使し、
工場の全自動化モデルをつくりたい。

生産技術 間井谷 洋祐

「コウモリは、自ら超音波を放射し物体の反響音を聴取することで、衝突することなく飛行することは知られています。では、多数のコウモリが飛行する際、他の個体の音声と入り混じりますが、どのように自身の音声と聞き分けて、衝突せずに飛行するのか...」。間井谷洋祐は、学生時代の研究テーマ、「コウモリの混信回避メカニズム」について、嬉しそうに解説してくれた。

彼は、大学4年から大学院を卒業するまでの3年間、この研究に没頭して取り組んでいた。しかし、就職活動では、この研究とは全く関係のない「生産技術」という職種を志望した。「学業は学業、職業は職業と割り切り、仕事としてやってみたいことを選択しました。「生産技術」は、質を担保しながら生産コストの削減を生み、会社の利益に直結する技術です。その技術に携わることで、会社のなかでの自分の存在価値を高めたいと思ったからです」。

会話する間井谷 洋祐さん

2019年入社。配属先は、徳島県にある小型二次電池を生産する工場だった。「半年間の研修を経て、職務に就いた。学生時代、生産技術の職種に役立つ技術をほとんど習得していなかった彼は、指導役のメンターに付いて一から学んだ。はじめの頃は、生産ラインで運用されている画像処理装置の改善の仕事をしながら、さまざまな技術を身に付けていった。そして2年目の夏頃、海外も含めて電池の全生産拠点初の取り組みとなる仕事を担当。彼が取り組んだのは、電池の生産ラインにおける目視検査の削減を目的とした、画像認識による検査機器の導入だった。組み立てられた電池を、天面、側面、底面の3方向からカメラで撮影し、画像認識により傷や汚れなどを発見するシステム。そのカメラの取り付け、調整、さらに作業員のための手順書や作業標準書を作成し、生産ラインでの運用体制を整えるのが仕事だ。前例がないため、不明な点は随時メンターに相談しながら進めた。しかし、試練は、突然やって来た。頼りにしていたメンターが異動になった。正直、途方に暮れた。自転車乗りの練習中に、突然、補助輪を外されたような気分だった。でも、倒れないためには、必死にこぎ続けるしかない。彼は、考えた末、相談相手を課外に求めた。「こういった検査機器に知見のある方が、課内にいらっしゃらなかったので、思い切って課の垣根を越えて先輩方に声をかけました。何に困っているのかをきちんと伝えると、いろいろ調べてくださり適切なアドバイスをくださいました。また、私の成長を促すために、あえて答えを出さずに考えさせてくださることもありました。それが伝わってきて、本当にありがたかったですね」と振り返った。メンターがいなくなったことで、何をすべきかを自ら考え、行動することで自信が生まれ、それが信頼を生み、今では、まわりの人に頼られるまでに成長した。

作業をする間井谷 洋祐さん

彼に、この仕事の魅力を聞いてみた。「最近は、外観検査の新規設備の製作や、画像処理の新たな検査方法を考案して検査機器を改善する仕事もやっています。一つひとつ最適解を探りながら進めていくことは、やりがいを感じます。その反面、ルーティーンワークではないため、苦労も多いですね。改善の仕事でも、その内容が常に違うし、新規設備の開発となるとゼロからのスタートとなるので、どうアプローチしたらいいか、いつも悩んでいます」。画像認識による検査機器は、20212月に本格導入され、2本目の生産ライン導入に向けて進められている。その導入により削減される年間コストも掴めてきた。この検査機器が、今後グローバルで展開されたら、会社に大きな利益をもたらすことができるという。

笑顔で話す間井谷 洋祐さん

パナソニックに入社して2年半。生産技術者の道をひとりで歩き出した彼は、今、どんな未来を見つめているのだろうか?「パナソニックは、社風として、チャレンジすることを重視していまして、手を挙げれば、自身のやりたいことに挑戦することができます。今の仕事は、製品の品質検査において省人化につながるものですが、今後は、さらにスケールアップして、工場の全自動化モデルをつくるのが私の目標です。工場の自動化というと課題が果てしなく多く、ゴールが見えにくいのですが、AIIoTなど最先端技術を駆使することで、夢ではなくなります。これまで人に頼っていた作業を一つひとつ解きほぐし、数値化してデジタルで管理することができれば、必ず実現できると思っています」と、彼は熱く語った。大きな目標は、人を大きく成長させる。

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