パナソニックの人 河合 祐樹

仕事場と河合 祐樹さん

現場の努力を知り尽くした
経理責任者になって、
経営に大きく役立ちたい。

経理 河合 祐樹

「パナソニックにとって経理の使命は、『経営の羅針盤』として経営に役立つこと。その役割を担うため、経理社員を適材適所に配置し、人財育成も自ら行う『経理社員制度』があります」。河合祐樹が語る、他社と一線を画す経理の特長。これこそ、河合がパナソニックに就職を決めた理由である。この制度はさまざまな職種のなかでも特殊だ。パナソニック株式会社では、経理社員は全社的な組織である「経理センター」に所属し、各事業部の経理を担当する。経理社員は事業責任者のブレーンとして数字面で経営をサポートしながら、万一、方向性が間違っていれば軌道修正を提言。そして、この人材配置はパナソニックグループCFO(Chief Financial Officer=最高財務責任者)が統括する。「経理の役割が重要視されていて、それを実現するしくみが整っている。経理として働くなら、パナソニックしかないと思いました」。

社内でPCに向かう河合さん

子どもの頃から数字が大好きだった河合は、算盤を習い、算数も数学も得意だった。大学は数字に関係が深いと思った経済学部に進学。貸借対照表や損益計算書など、数字を扱う簿記はおもしろかった。ゼミは財務会計。会計学や企業価値評価を学び、企業分析も行った。旅行代理店をテーマに、決算書から収益性や財務安定性を計算したり、有価証券報告書を読み込んで決算内容の理由を分析したり、背景となるトレンドも調査。実践さながら、「企業価値≒目標株価」を試算した。高精度に分析できたと自負していたが、数年後インバウンド景気で旅行者数、株価ともに試算をはるかに上回る結果になり、将来を見通す経営の難しさを実感したという。

就職活動に臨む際、河合は経理職を前提にし、業界はメーカーに絞った。事業がイメージしやすく、商品を自ら利用でき愛着がわくと思ったからだ。自動車系、飲料系、電機系などさまざまな分野にアタックした。そのなかでパナソニックだけが「経営に役立つ経理」と明言。OJTタイプのインターンシップで出会った若い経理社員の仕事の様子が、それを裏付けてくれた。現場の工場に足を運んで年上社員と議論し、経営改善へ理解と協力を得て一緒に活動する。経理に対する信頼感と、揺るぎない人間関係。「経営に役立つ経理とはこういうことなんだ」。経理の理想が、そこにあった。

打ち合わせ中に笑顔で話す河合さん

河合は、パナソニックで経理としてのキャリアを歩み始めた。まず基本業務として資金や売掛金、買掛金、固定資産などの管理を経験。4年目からはエアコン事業の経理として決算、事業計画策定、連結経営管理などに携わった。20代後半になると、海外勤務の話が持ち上がってきた。経理は海外勤務の可能性が高いと聞いていたが、あまり積極的になれず上司の打診に「いつかは...」とお茶を濁していた。しかし海外出張の機会に現地で働くスタッフと直接話をし、現場で仕事ぶりを見て意識がガラリと変わった。「日本に報告される経営数値の裏にある努力に触れ、海外の現場をもっと知らなくてはと思いました」。

海外で勤務したいとチャレンジを申し出た結果、河合はベトナムにあるテレビ・基板の生産拠点へ32歳にして副社長兼経理責任者として赴任することになった。日本人は社長と2人だけで、他は現地スタッフ。いきなり400人もの部下を持つことになった。期待を抱えてのスタートだったが、早々、過去のトラブルで多額の支払いが発生し、借金経営になってしまった。プレッシャーがのしかかったが、河合は腹をくくり奔走した。まず朝会や会議を通して現状を正直に伝え続け、全員と危機感を共有。資金改善プランを策定して、経費の見直し、生産計画策定プロセス改善による在庫削減、品質・生産性改善によるロス撲滅など、手を尽くした。現地スタッフの勤勉さも功を奏した。わずか1年で借入は解消し、資金黒字化を達成。仲間全員と喜び合った。「みんなの理解と協力には、感謝しかありませんでした」。マネジメントの難しさのなかで新たな人間関係を築くことができた経験は、かけがえのない財産になった。

社内で話す河合さん

海外から戻って約半年。河合は現在、戦略本部と経理センターを兼任。企業価値視点の経営を会社へ実装するため、施策や課題を検討するさまざまなプロジェクトに参画している。たとえば新たな戦略策定の仕方やサステナビリティ経営のしくみ、あるいは事業の成長戦略や方向付けを検討する際に、経理的観点から提言。さらに、それらをまとめて取締役会に上程する対応に関わり、結果を受けて各部門と事案を連携して推進している。「パナソニック株式会社全体にまたがるテーマを扱ったり、経営トップの意思決定に間近で関わることができたり、かつてないレイヤーの仕事に計り知れない刺激を受けています」。

新たなキャリアへ歩み出した河合。さらにその先には、40歳代前半で事業部の経理責任者になるという目標がある。「メーカーにとって、必要な資金や利益を生み出す源泉は事業と商品。その現場に入り込み、事業の経理責任者として経営に役立ち、お客さまや社会へ価値を生み出すことに貢献していきたい」。キャリアパスの描き方もキチンと計算されているのは、数字好きの河合ならではだ。

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