パナソニックの人 小川 太一

仕事場と小川 太一さん

AVシステムのSEとして、
お客さまになくてはならない
存在になりたい。

SE(システムエンジニア) 小川 太一

「私は、SE(システムエンジニア)の仕事をしていますが、よく営業と間違えられるんですよ」。小川太一は、人なつっこい笑顔を浮かべて語った。小川は、中学、高校と、バスケットボールチームのキャプテンを務め、大阪府の大会ではベスト16まで進んだことがある。20年以上打ち込んできたバスケットボールから学んだことは、「最後まで諦めずに挑み続けることの大切さ。そして、チームの先輩、後輩との付き合いを通して身に付けたコミュニケーション力」だという。「お客さまはもとより、取引先の方とのやり取り、開発のプロジェクトチームの方との連携など仕事を円滑に進める上で、コミュニケーションの大切さを日々実感しています」。

社内で2人の同僚と笑顔で話す小川さん

パナソニック入社後、小川はSEとしてシステム技術センターに配属された。最初の仕事は、宮城県東松島市の「沿岸監視システム」だった。これは、センサで24時間潮位の変化を観測し、津波などの予兆をいち早く検知するもの。東日本大震災の後、沿岸に住む人々の安全を守るために設置されたこのシステムの設計・構築に、先輩と2人で当たった。仕事は、先輩が一から教えてくれた。システム構築のやり方から、仕事の進め方、お客さまや取引先の方との接し方まで、先輩の言動を間近で見聞きしながら吸収していった。「今の僕の基盤は、先輩につくっていただいたと思っています」。そう語る小川の表情から、先輩への信頼と敬意が感じられた。

社内でPCに向かい作業をする小川さん

数年後、いよいよ独り立ちの舞台が整った。企業のVIPルームの壁一面に設置する8K高画質16面マルチディスプレイシステムのプロジェクトに、小川はSEとして参加した。システムの設計、提案、納入までをひとりで担当。8Kの技術がまだ世に出始めの頃、さらに、所属する部署でも未経験の仕事だった。「正直、毎日不安で、押しつぶされそうな心境でしたね。コードひとつとっても、本当にこのコードでいいんだろうか?この設計で大丈夫だろうか?いつも、不安と闘っていた気がします」。実際、施工の現場では、納期が迫るなか予想外のトラブルが起き、その対応に深夜までかかったこともあったが、無事完成。実際の映像をお客さまに見ていただく完成披露の場に立ち会った。壁一面に広がる美しい8K映像を前に、各々からため息が漏れた。「『良かったよ!』とお客さまに言っていただいたのが、今でも心に残っています」と、懐かしむように語った。このプロジェクトを通して、小川は多くのことを学んだ。「ひとりでやってみて、先輩の存在の大きさに気付かされ、自分の未熟さを痛感しました。また、AV(音響映像)システムならではの仕事の進め方や、お客さまが重視するポイントなど、改めて気付かされたことがたくさんありました」。

現在は、パナソニック コネクト株式会社の現場ソリューションカンパニーに所属。4月から係長となり、3人のメンバーを指導しながら映像や音響を駆使したシステムやサービスの提案・設計から構築・納入・保守サポートまで行っている。これまでに、鉄道の安全を管理する指令室をはじめ、大学などの教室、一般企業の会議室やVIPルームなどの、さまざまなAVシステムを手掛けている。SEの仕事の難しさと、たのしさについて聞いてみた。「お客さまが何を求めているかを明確にするために、要件定義をするのですが、何度も話をして細部まで確認します。そしてお客さまの予算とコスト、納期とのバランスを測りながら、いかにベストのソリューションを提供するかが、いちばん苦労するところであり、腕の見せどころでもあります。仕事が完了した時の達成感は格別ですが、何と言っても、お客さまから『ありがとう!小川さんに頼んで本当に良かったよ』と言っていただいた時が、いちばん嬉しいですね」と顔をほころばせた。

笑顔で話す小川さん

この道10年。SE、小川太一の信条は、「お客さま第一」だ。「この仕事は、お客さまの課題を解決して、お客さまが求める機能、システム、設備、空間、環境...などを提供することです。お客さまが求めることには、レスポンスの速さも含めて可能な限り応えていきたいですね。『お客さま第一』の仕事は、きっと、『お客さまの信頼第一』につながると思うので。昨今の景気の影響で設備投資が絞られ、AVシステム・設備のプレゼンスが下がってきていると感じています。そのなかで、AV設備の必要性を改めて証明するとともに、お客さまが、何か困ったときに頼られる存在、お客さまにとって、なくてはならない存在になりたいと思っています」。

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