パナソニックの人 長瀬 綾佑

仕事場と長瀬 綾佑さん

EVのスタンダードになる
システムをつくりたい。

研究開発 長瀬 綾佑

できそうなことと、できるか分からないこと。2つの選択肢があった場合は、できるか分からない方を選ぶ。長瀬綾佑にはそういうところがあった。理系の道を選んだのも、世界史や日本史は教科書を覚えれば何とかなりそうだったが、数学の方は公式を覚えても問題を解けそうになかったから。大学の学部を情報系の学部に決めたのも、プログラミングに興味を持って友達から本を借りたが、それがまったく理解ができなかったことが理由だった。「別に難しいことを考えていた訳じゃなくて、ただ何かを専門的に突き詰めていくよりも、何でもバランスよくできる方がおもしろいかなって思ってたんです」。

社内でノートPCに向かう長瀬さん

大学4年になった頃、長瀬はまた2つの道で迷っていた。大学院か、就職か。正直、就職活動の方は、どうすればいいのかよく分からなかった。だから、やってみることにした。とりあえずITを扱っている企業を調べながら、何を基準に会社を選ぶべきか考え始めた。仕事の内容か、会社の規模か、福利厚生か。そんな時に出会ったのが、パナソニックの人だった。「説明会に来られた方が、すごくいい人だったんです。やさしかったですし、とにかく話しやすかった。一緒に働くならこういう人がいいなって。それで思ったんです。会社でする事の内容なんて、どんどん変わっていくだろうし、今はたのしいと思えることも、10年後は変わっているかもしれないなって。だったらその会社で『何をやるか』より、『どんな人と働くか』を軸に選んだ方がいいなって思ったんです」。そして長瀬は、パナソニックを第1志望として本格的に就職活動を始めた。

「ITができればどこでも大丈夫です。あと自動車にも少し興味あります」。志望を聞かれた時はそう答えた。だから、一次電池、二次電池などのエナジー分野で研究開発を行っている部署に配属されたのは意外だった。電池がITや自動車とどんな関係があるんだろう?イメージのなかにある電池とは、まるで結びつかなかった。しかし仕事の説明を聞くうちに、エナジーがITや自動車に密接に関わっていることが分かってきた。

社内で打ち合わせをする長瀬さん

「電池って充電し過ぎたり、使い方がよくないと、発熱などの不具合を起こす原因になるんです。だから、ちゃんと制御しなければいけないのですが、それをするのがITなんです。私が担当したのは、電池をコントロールするための部品『BMS』の制御ソフト開発でした」。最初に任されたのはEV(電気自動車)に入れるBMS。命を乗せるものであるから、EVの電池には非常に高い安全性と信頼性が求められる。ギアが何速に入っている時はこういった制御を、パーキングに入っている時はこういう制御を、というように、さまざまな状況を想定しながらテストを重ねて、検証していかなければならない。しかし、電池の知識はまったくなかった。その上、自動車についても運転以外のことは分からなかった。プログラミングでさえも、これまで使っていたものとは違う言語で書かなければならなかった。「最初は知識や技術が本当に足りなくて、用語すらもよく分かりませんでした。だから、とにかく先輩に聞きました。迷惑かなと思いつつ、そのままにはしておけないので、本当に聞きまくっていましたね」。そうやって自分ができることの範囲を、少しずつ広げていった。仕事もどんどん任されるようになっていった。

4年目、新しく立ち上げられたクラウドを使った電池分析システムの構築を担当することになった。「EVやICT機器を取り扱う会社と提携して、そこから提供いただいた電池のデータをクラウド上で分析することで、電池の寿命を推定したり、異常を事前に検知したり、電池のより良い使い方をアドバイスさせていただいたりするサービスです。これは長年電池を研究開発し、その使い方を熟知している私たちの強みを最大限に活かせるサービスです」。このシステムの構築には、電池のノウハウに加えAIの技術が不可欠。しかしAIの分野もまた、これまで学んだことがなかった。そこでAIを担当している別部署に行き、仕事をしながら勉強した。「右も左も分からない状態から1年間。試行錯誤を繰り返しながら、学ばせていただきました。大変でしたが、こんな風に仕事をしながら、新たなスキルを学べるのはパナソニックグループならでは。何か新しいことを任されることが多い自分には、本当にぴったりの会社だなって思いますね」。

笑顔で話す長瀬さん

現在は、クラウドシステムの保守運用やソフトウェアテストの自動化に取り組んでいる。「テストの自動化は、これまで手動でやっていた手間を大幅に省くだけでなく、品質保証にもつながる技術。EVへの本格的な導入に向けて、今、世界中が取り組んでいる技術です。つまり私たちが開発しているものが、将来のディファクトスタンダードになるかもしれない。まずは、それを実現するのが夢ですね。それに、私の仕事はパソコンがあればできるので基本在宅勤務なんですが、自分の部屋から世界中のEVに搭載される技術が生まれるかもしれないと思うと、最高にワクワクしてしまうんですよ」。

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