パナソニックの人 門田 隆太郎

仕事場と門田 隆太郎さん

知的財産部門ならではの
つながりを活かして、
「共創」を実現させたい。

知的財産 門田 隆太郎

2013年のノーベル物理学賞。そこで話題になったヒッグス粒子を発見した実験グループに、門田隆太郎は翌年加わった。学生のあいだは就職してから使えるスキルなど一切考えず、ただひたすら自分が興味を持ってやりたいと思った研究に没頭した。実験設備はスイスのジュネーブ郊外にあり、そこへ訪れて研究をすることもあった。だから、会社のインターンシップに参加することはなく、また就職活動スタート時も日本にいなかった。日本に戻って本格的に就職活動を始めて面接で研究内容を詳しく説明すると、親身に聞いてくれる会社が多くあったのは驚きだった。「研究内容に対して専門知識を持っていない面接官である人事の人たちにも分かるように、自分の研究内容を丁寧に説明する努力をしました。就職活動で見て回ったどの会社の人たちも、興味津々に聞いてくださったのが印象に残っています」。

社内でPCに向かう門田さん

門田にとって、会社に就職することと学生時代の研究は同一線上にはなかった。学生時代の研究と就職先の仕事は別物と考える。それはそれ、これはこれ。だから就職活動では、自分が心の底からリスペクトできる会社であるかどうかを基準に選んだ。昔から生活の身のまわりにはパナソニックの製品があったので、門田にとってパナソニックは憧れの会社であり、まさしくリスペクトの対象だった。また、創業者 松下幸之助が「ものをつくる前に、人をつくる」という言葉を遺していたことを知り、深く感銘を受けたのもリスペクトする要因のひとつ。そんなパナソニックから内定をもらった時は、飛び跳ねて喜んだ。「日本の産業をずっと引っぱってきた会社の一員になれることが、とても嬉しかったですね」。

門田が知的財産という職種に惹かれたのは2つ理由があった。ひとつはスタート地点に差がないから。つまり、学生時代に知的財産を勉強している人はほとんどおらず、会社に入った時点からみんな平等に知的財産について勉強し始めるので、予備知識が少ない状態でも活躍できる点に魅力を感じたからだ。もうひとつはある分野を深く掘り下げて極めるのではなく、あらゆる分野に携われるから。「知的財産という職種は、浅くとはいえ技術も法律もビジネスも幅広いスキルを身につけることができます。しかもそれを1年目から経験できるんです」。門田の身のまわりには海外駐在の経験者もいれば、弁理士や弁護士もいるし、さらにMBA取得者もいる。そういったさまざまなスペシャリストの協力を得ながら仕事を進めることに、強い魅力を感じた。「他の部門だとA事業部とB事業部のあいだに敷居の高い壁があるように見えるんですが、知財部門だとその壁がないんです。A事業部の知財担当者とB事業部の知財担当者って、担当する領域は違っていても知的財産という同じ視点があるからフラットに話せる関係なんですよ」。

笑顔で打ち合わせをする門田さん

現在、門田はパナソニック コネクトの熱加工システム事業の知的財産を担当している。具体的には、業界の知的財産の状況を把握して自分たちの知的財産活動方針を定める戦略から、他社の動向調査、特許の出願・権利化など、幅広く知的財産に関する活動に取り組んでいる。「私はさまざまな人たちと仕事をするのがたのしいと感じるタイプなので、今の仕事はたいへん満足しています。知的財産や技術の方々はもちろん、法務や経営企画、営業の方々と仕事をする機会もあるし、社外では特許庁や特許事務所、業界団体、法律事務所、調査会社、協業先の会社といった方々とも仕事ができて充実しています」。入社するまでは、学問ひと筋で知的財産の知識もスキルもなかった門田。そんな門田でも、入社後に新しいことにどんどんチャレンジをしつづけて、勉強も重ねることで活躍の場を広げていった。だから幅広く興味を抱く人にはぴったりな職種だと語る。「ゆくゆくは知的財産部門が事業部と一体となって、新しいビジネスをつくっていく時に、自分がハブ(中枢)みたいな存在になれたらいいなと思っているんです」。

笑顔で話す門田さん

「これからのビジネスは、今までのような『競争』だけでなく『共創』も必要となり幅広い専門性が必要になってくるでしょうね」。ひと昔前の「競争」だけなら各部門が自分の専門性を磨きつづけるだけで何とかなっていた。しかし、「共創」となれば、さまざまな専門性を掛けあわせる必要があるだろう。「私がハブになってさまざまな人々とつながりを持つことで、より良い世界をつくることに結びついて、そうすることで明るい未来がつくれていけるんじゃないかなと思っているんです」。入社当日、新入社員代表として選ばれ、入社式で決意表明をしたときの初心を忘れることなく、門田は今もなお新しいことに挑戦しつづけている。

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