世界中のお客さまの新製品に、
パナソニックの電池を搭載したい。
営業・営業企画 宮田 千里
そこに行けば友達と会える。英語を習い始めたのは、たしかそんな理由だったと思う。小学校の低学年だった宮田千里にとって、勉強をしているという感覚もあまりなかった。英語はたのしいもの。その感覚が、宮田に自然と英語力を付けさせていった。中学でも、高校でも、得意な科目は英語。そして、いつかこの英語を使って自分の目で世界を見に行きたい、と思うようになった。
大学の学部も、世界について学べるグローバル地域文化学部を選んだ。そして大学3年生の時、ついにその時が来た。アメリカへ留学することになったのだ。「ミシガン州で4カ月間、英語をみっちり学びました。ひとつの教室に、世界中から留学生が集まって授業を受けるのですが、一口に英語と言ってもそれぞれの国のなまりというか、独特なアクセントがあるので、最初はみんなが何言ってるか全然分かりませんでした」。それでも何かを吸収したくて、教室以外でも異文化と触れるために毎日クラスメイトと過ごした。そして、拙い英語で必死に言葉を交わすうちに、宮田のなかにこれまでない考えが芽生えた。
「私はこれまで中学を卒業したら高校、大学、社会人と、いわゆるレールに乗っていくものだと思っていて、それから外れるなんて考えたこともありませんでした。でも、アメリカで会った人たちは違いました。自分と合わないと思ったらすぐに学部や大学を変えるし、急に思い立って留学へ行ってみることもある。みんな本当に好きなことを、思ったようにやることを最優先していました。それで気付いたんです。私はもっと自由でいいんだって」。
それは人生が変わったと思えるほどの衝撃だった。もっといろんな国で、いろんな人と出会い、もっと自分を成長させたい。日本に戻ってからも、海外への想いは強くなり続けた。就職活動を始めた時も「海外に携われる会社」という軸で、業界、業種は問わずにいろんな会社をまわった。メーカーはもちろん、客室乗務員や大手銀行など、海外で働けそうなところは片っ端から受けた。そうして見つけたのがパナソニックだった。
「会社を調べていくうちに分かったのが、グローバルな会社と言ってもすごくいろんな種類があるということです。海外拠点がひとつの国にしかなかったり、海外事業の割合が低かったり、管理職にならないと海外勤務できなかったり。そんななかでパナソニックは、世界中に拠点があって、海外の販売規模も多く、社員が若手のうちからどんどん海外に出ていました。私のやりたいことができるのは、この会社だって思ったんです」。
入社して配属されたのは、エナジー事業で電池を扱う営業部。電池のことはよく分からなかったが、はじめて職場に行って、オフィスのあちこちから英語でやりとりしている声が聞こえた時、ここが自分が求めていた場所だと思った。そこで2年間、営業のバックアップ的な職である営業企画として働き、電池と営業について学んだあと、国内のBtoB営業として西日本の企業を担当することになった。家電製品向けをはじめ、インフラ機器、医療機器、車載製品向けのコイン形・円筒形などのリチウム電池、充電できるニッケル水素電池、乾電池などを取り扱っている。「国内営業というと、海外と関係ない仕事のように思われるかもしれませんが、実はすごくグローバルなんです。まず電池の生産工場は海外にありますし、お客さまの海外支店とやりとりすることも少なくありません。いきなり海外勤務よりも、まず国内で営業としての力を磨きながら、グローバルな仕事をやらせてもらえたことは、私にとってすごくよかったと思っています」。
主な仕事は担当企業の新製品に電池を搭載いただくための提案活動、そして受注した電池の納期調整だ。「どんな電池が、お客さまの新製品にベストなのか。それを探るためにはお客さまへのこまめなヒアリングが大切ですし、社内の関係部門との連携も欠かせません。そこには留学中に培ったコミュニケーション力が、活きていると思っています」。電池はいまや身の回りにあるさまざまな製品に使われており、業界・用途を問わずいろんなお客さまと仕事をしている。自然といろんな業界に精通することができ、世の中の流れがより分かるようになるのも、この仕事のおもしろさのひとつだ。
まずひとりの人間としてお客さまと向き合い、自分たちのできる最高のご提案をする。最近ようやく自分の営業スタイルみたいものができてきたように感じる。そして宮田は次の世界を見据えてこう思う。「次はいよいよ海外の現地に行って営業経験を積みたいですね。研修制度をはじめ、パナソニックグループは本当に海外へのチャンスが多いんですよ。だからやりたいことは、やりたいって言い続ける。そうすれば実現できる会社ですから」。