パナソニック(株)が目指しているのは、お客さまの心に響くモノづくり。商品を使っていただきながら「やっぱり、パナソニック!」と言っていただけるようにと、当社には製品の設計段階から購入後のサポートまで、徹底して“お客さま目線”を貫くキープレーヤーがいます。その1人は、お客さまのお困りごとの自己解決を促進するFAQ(よくあるご質問)コンテンツをはじめ、購入後のお客さまをデジタル上のタッチポイントでサポートするCSサイト担当。もう1人は商品の品質課題を先回りして抽出し、お客さまのリスクを取り除く品質管理担当。両部門の若手社員に、仕事のやりがいを聞きました。
2023年06月
プロフィール
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森 遥香
パナソニック(株) コンシューマーマーケティングジャパン(以下、CMJ)本部 エンゲージメントセンター 商品・CSサイト企画課
2017年入社。同志社大学グローバル地域文化学部出身。商品の生産・販売・在庫計画を立て、適正在庫を維持するPSI※担当を経てCMJ本部 CS推進センターに異動。メール、アプリを活用した「1to1サポーティング」を立ち上げる。現在はCMJ本部 エンゲージメントセンターで同事業とFAQサイト運営に従事。
※PSI=Production(生産), Sales(販売計画), Inventory(在庫)の略
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梶原 舞乃
パナソニック(株) エレクトリックワークス社 品質・環境センター 品質マネジメント推進部 製品安全・設計品質強化課
2020年入社。熊本大学で応用化学を専攻、大学院では高分子材料を研究。入社後は各事業部の品質トラブルの原因究明支援や製品事故の再発防止の見届けを行う。3年目から設計品質強化にも従事。品質トラブルナレッジの展開や、データ分析ソフトウェアのBIツールを用いた品質管理のデジタル化にも取り組む。
目次
真のニーズを追求し、一歩踏み込むサービスを提供
森 遥香
森さんはなぜCSサイト企画の仕事に興味を持ったのですか。
初めは商品部に所属し、生産・販売・在庫を同時に計画するPSIを担当していました。もともと興味があったのは商品企画で、もっとお客さまと接点の強い仕事ができたら、企画をはじめ幅広い仕事に生かせると思いCS部門に興味を持ちました。
エンゲージメントセンターとはどんな仕事をする部門ですか。
「エンゲージメント」とは、企業とお客さまの間に築かれる信頼関係のことです。エンゲージメントセンターでは、お客さまと長期にわたるエンゲージメントを築くために、商品・サービスを通じた体験の企画や、お客さまとの接点である公式ホームページの運営を推進しています。また、お客さまのくらしをサポートするパナソニック公式の会員サイト「CLUB Panasonic」や公式Twitterなどを通じて、生涯にわたりお客さまに当社のファンとなっていただけるような取り組みも行っています。
私の担当は主に二つです。一つがFAQサイトの運営と管理。冷蔵庫、掃除機、空気清浄機、ジアイ―ノなどのFAQサイトを受け持っています。もう一つが「1to1サポーティング」というサービスの推進です。このサービスはアプリやメールを活用して、お客さま一人ひとりに最適なタイミングで商品のお役立ち情報を配信するものです。
FAQサイトの業務を具体的に教えてください。
まず、VOC(お客さまの声)データやWEBデータから、お客さまのお困りごとを分析します。それを元に、FAQサイトに掲載する文章や画像、動画などのコンテンツ作成や改善を行います。サイト公開後は、お客さまからのコメントや評価機能から、FAQサイトに掲載している内容が本当にお客さまのニーズと合致しているか効果検証します。そしてお困りごとを解決できていないと判断したものについては再度改善するまでが一連で、そのPDCAサイクルを繰り返します。コンテンツの作成や改善は、事業部の商品知識、相談センターのVOC知識、私たちのWEB知識という各部門の衆知を集めて取り組んでいます。
「1to1サポーティング」の取り組みを詳しく教えてください。
パナソニック(株)が目指すのは、商品をご購入いただいた後も一人ひとりに寄り添うサポートです。1to1サポーティングもその一つで、商品の使い方やお手入れ方法など、お客さまが必要とするであろう時期に、先回りしてお役立ち情報をアプリやメールで配信します。
このサービスは2019年にスタートし、現在は23商品で展開中です。サービス立ち上げのきっかけは、お客さまのお問い合わせ内容を分析すると、商品別に時間軸と連動してお問い合わせ内容の変化にパターンが見えてきたことです。お問い合わせ内容と、商品の使用期間を照らし合わせて特徴をつかみ、企業側から商品を利用してくださっているお客さまへコミュニケーションを取る方法を探りました。
例えば、洗濯機であれば最初は「洗剤や柔軟剤の使用量について」、1カ月後には「洗剤投入口のお手入れ方法について」と、CLUB Panasonicの仕組みを活用して使用期間に応じた情報を配信しました。その結果、お客さまから「ちょうどこの情報が欲しかった!」という声をいただくことができました。現在もお客さまとの信頼関係、「エンゲージメント」を築くために、よりお客さま一人ひとりに寄り添ったサポートができるようサービス向上を目指しています。
業務の中で大切にしていることを教えてください。
真のニーズを追求することです。CSサイトの運営は、いかに正しくお客さまのお困りごとを抽出するかが出発点。「お客さまはこう思うだろう」という臆測は禁物です。
お客さま目線を徹底するために、データを多角的に分析することに加えて、相談センターとも日々連携を取っています。お客さまの課題を解決することはもちろん、「パナソニックにしかできない、事前期待を上回る感動体験を提供したい」という想いを持って仕事をしています。
徹底したリスク管理と新たな視点で、品質の製品安全のとりでになる
梶原 舞乃
次に、梶原さんの仕事内容を聞かせてください。
お客さまに安全と安心を届けるための品質管理の仕事をしています。私が取り組んできたのは、品質リスクの再発防止です。照明やコンセント・スイッチ等の配線器具など、エレクトリックワークス社製品の品質トラブルや製品の不具合が起きないための管理です。販売後にトラブルが起こり、リコールに発展する事象もあります。そうした情報をいち早く入手し、事業部と連携を図り、重大性の判断を行い、対策等の検討・市場への啓発を推進しています。入社3年目からは、設計品質強化の業務も行っています。大規模な品質トラブルを起こさないように設計段階でトラブルの芽を摘み、製品づくりへフィードバックします。
設計品質強化の取り組みを具体的に教えてください。
商品設計においては、一定の基準や要件が定められた品質目標があります。そのために、世の中で起きた過去の品質トラブルのメカニズムや原因、そしてその対策などの知識を全社に展開する活動を行い、設計品質強化に取り組んでいます。
2022年度には、設計品質強化の新たな取り組みとしてパナソニック(株)エレクトリックワークス社にて事故品および事故再発防止の対策済み製品の現物展示会を開催しました。直接社員に事故品を見てもらうことで、よりトラブルを身近に感じ、さらに危機感を高めてもらうことが目的でした。パナソニック(株)全体の品質に対する意識を向上させていくためにも、こうした機会の必要性を感じています。
業務の中で大切にしていることを教えてください。
お客さまの安全を守ること、品質管理は企業の命です。そして、一つの品質トラブルが、会社の信頼や経営にまで大きく影響する場合もあります。過去のトラブルを繰り返さないことはもちろん、品質を見つめ直すための新たな観点が大切だと思っています。未知のトラブルを防ぐための最新の情報収集、物事を多角的に捉えて新たな取り組みを生み出す水平思考力は欠かせません。
お客さま視点で見つめ、伝わる形にする
お二人が、お互いの業務で知りたいことはありますか。
担当する冷蔵庫のFAQサイトは年間84万件(2022年度)のアクセスがあり、そのアクセスに対する分析をしています。分析を効率的に行う必要があるので、近年はBIツール(データ分析のソフトウェア)を活用しています。
私も品質管理知識のデジタル化に取り組んでいます。膨大な情報を活用するために、データを見える化し、業務の効率化と分析力強化に努めています。私も森さんと同じBIツールを使っていますが、最初は大変でした。分からないことがある時はどうしていますか。
ツールに詳しい方に聞くことが一番実践的だと思います。私は、先輩に1対1での研修をお願いしたこともありました。データに向き合うことの多い仕事ですが、追い求めているのはお客さまの真のニーズです。最近は社外のオンライン学習プラットフォームも充実しているので、積極的に活用してスキルアップを図っています。
品質トラブルが起きた時の原因究明は、とてもスピード感が求められる仕事ですね。梶原さんが心掛けていることはありますか。
そうですね、私は部門間がスムーズに連携することを心掛けています。各部門の情報や知見を共有し、それぞれが「素早く迅速に」を意識しています。そのためにもBIツールで原因となる事象やクレームの解析速度を上げる必要があります。また、日ごろの品質改善活動は、事業部の方々に活動の必要性と同時にメリットも伝える事が重要なため、提案力とコミュニケーション力を意識しています。
同じく、部門間のコミュニケーションの重要性を感じます。まずはサイト担当として信頼を得ることが第一ですが、周りを巻き込む推進力を身に付けるためにも、先輩方の姿を見て会話や折衝の仕方を勉強中です。また小さい工夫ではありますが、オンライン会議では開始時間より少し前に入り、会議参加者と雑談するなど日々の業務の中で意識的にコミュニケーションを取るようにしています。
FAQサイトの取り組みでは、どんな成果が出ていますか。
FAQサイトへのアクセス数は、電話相談件数の約20倍にもなっています。また、デジタルマーケティングの外部の調査会社による評価で、パナソニックのCSサイトが家電業界で1位を獲得することができ、高い成果につながっていると感じています。
FAQサイトでは、お客さまにアンケートを実施しています。「役に立った」から「役に立たなかった」の5段階評価となっており、それも「お客さまの真のニーズに応えているか」の指標になります。例えば、FAQサイトで空気清浄機のお手入れ方法を掲載しましたが、なかなか解決数が伸びないことがありました。そこで、相談センターの担当者とお客さまの声を再度分析したところ、お手入れと言っても、におい、カルキ成分の付着など、お客さまの元で起きている現象が細かく異なることが分かりました。そこでFAQもそのお困りごとに細かく分けたところ、解決数の向上へとつながりました。
まさに「お客さま目線」の追求ですね!私たちはお客さまと物理的な距離はありますが、その視点はとても大切にしています。例えば想定と異なる使用方法で品質トラブルが起きた場合も、その製品を世に送り出している我々にできる対策を考え実行します。取扱説明書の情報は十分か、また啓発がお客さまに行き届いているのかなど、常にお客さま目線で改善活動を行っています。
安心・安全に加えて感動体験の提供を
お二人のミッションを教えてください。
世の中の価値観が「モノ」から「コト」に変化する中、商品販売後のお客さまの体験価値向上が重要だと考えています。そこで、求められるのは、1to1サポーティングのようなパーソナルな体験。大多数に対してではなく、一人ひとりに寄り添うサポートが、感動体験の提供につながります。「次もパナソニックの商品を使いたい」と仰っていただくために、デジタル接点での体験価値を向上させるのがミッションだと考えています。
まさにファンづくりですね!品質管理では「攻めの品質」という言葉もあります。これはお客さまが満足する以上に、「感動してもらえる品質づくり」を目指すという意味です。幅広い事業展開、さまざまな専門性を持つ集団の力を生かして、企画、設計、調達、製造、サービス全てのビジネスフローで、顧客満足度の向上に取り組んでいます。IoT家電など技術が進化する一方、課題も新たに生まれます。常に、私たちが生み出すものがお客さまの心に響くものか、社会の要望に応えられているかという視点で取り組んでいけたらと思います。
今後のキャリアステップをどのように描いていますか。
パナソニックの品質管理の中核を担う人材になりたいです。入社前にはイメージがなかった展示会の開催など、企画の面白さも感じています。また、今後は製品づくりに近い仕事にも携わり、企画力や商品の知識も高めたいと思っています。そうして新たな品質改善活動を生み出せるといいですね。
私は膨大なデータを元に施策やコンテンツを考え、発信して、お客さまから反応が返ってくることに充実感を覚えます。だからこそ「お客さま理解」と「WEB」という二つの強みを掛け合わせて、今後もパナソニックのファンづくりに貢献する業務にさまざまな角度から携わっていければと思います。
パナソニック(株)で働く魅力を教えてください。
小学生から中学生にかけて海外に住んでいた時に、現地でパナソニックの商品の人気ぶりを見て、「日本のモノづくりの技術ってすごい」と気づきました。そして今は、そのきっかけとなったパナソニックで、ブランドイメージ向上につながる仕事に携わっていると実感しています。お客さまの真のニーズを社内で共有して、あらゆる部門の方々と密に連携を取り、お客さまにより良いくらしを提供できることが私の喜びです。
品質管理と聞くと、商品の検査などのイメージが強いと思います。もちろん検査、評価などの仕事もありますが、パナソニック(株)の品質管理はとても幅広く、魅力的な仕事です。企画の段階から商品が世に出た後まで、さまざまな場面に立ち合いたい、アクティブな仕事をしたいという方におすすめです!
「人」も魅力ですね。私が就職活動で会った先輩方が皆さん本当に親切で、モノづくりを裏側で支える「人」の素晴らしさに気づきました。業務で関わるとよりそれが身に染みます。商品をつくる人も、品質管理や事業部の方も、相談センターの方も全員がお客さま目線を持ち、互いに思いやりながら仕事をしています。
私たちもそう思ってもらえるように、業務にまい進し、思いやりの輪をつないでいきたいですね。
*所属・内容等は取材当時(2023年2月)のものです。
CSサイトの仕事は知らないことが多くて驚いています!分析するお客さまの声は、どのぐらいの件数に上りますか。