空気と⽔のコア技術を保有し、換気送⾵機器、空質家電、環境エンジニアリングシステム・サービス、空調機器、温⽔システムなど、家庭⽤製品からプラントまでを扱うパナソニック株式会社 空質空調社。グローバルに事業を⾏う同社は、⼈と社会に新たな価値を提供する企業へと変⾰を遂げるべくまい進しています。空質空調社とDXセンターの事業内容やビジョンについて、DXセンターの2名にお話を伺いました。
2023年09月
プロフィール
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藤岡 美国
パナソニック株式会社 空質空調社 DXセンター マーケティングソリューション部 部⻑
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⼭⽥ 亮
パナソニック株式会社 空質空調社 DXセンター 戦略企画部 主幹
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目次
パナソニックの成⻑軸。空質空調の多様な事業をグローバルに展開
はじめに、貴社の事業概要を教えてください。
パナソニックグループのなかで、貴社はどのような位置づけにあるのでしょうか。
パナソニックは、2025年を⾒据えて空質・空調事業の⽣産能⼒拡⼤や研究開発に1,000億円の投資をする⽅針を打ち出しています。これは地球環境の変動、地政学的な出来事、そして新型コロナウィルスの影響など、世界規模でのさまざまな変化により、⼈々の空気や空間に求めるニーズが⼤きく変わりつつあることを受けたものです。
この変化の潮流を捉え、お客様に向けて新たな価値を提供するソリューションをIT投資など通じて実現したいと考えています。
事業の強みを教えてください。
当社は、グループ会社を含めた総合⼒を持ち、研究開発・製造・販売から施⼯、保守・管理に⾄るまで、お客様にワンストップでソリューションを提供することが可能です。特に、換気システムや業務⽤ガス空調などの分野では、お客様から⾼い評価をいただいており、業界内でも⼤きなシェアを維持しています。
また、快適な室内の空気を構成するうえで必要な「温度・湿度・清浄度・気流・除菌・脱臭・⾹り」の7つの要素において、それぞれ⾼度な技術を持っています。この「空質7要素」を統合した空質と空調のソリューションで、お客様の課題解決に貢献できる点が、当社ならではの優位性であると考えています。
空質・空調事業を融合し、顧客に新たな価値提供を⾏う
貴社の中⻑期的なビジョンと、それに対する現在地を教えてください。
当社は空質事業と空調事業を融合させることで、世界的に拡⼤している市場に対して新たな顧客価値を創出し、ソリューション提供を強化していきたいと考えています。
そのためにも、空質・空調の機能や技術を融合し商品⼒を強化することが重要です。お客様とのつながりをさらに深め、「モノを売る」ビジネスから、「困りごとを解決する」コト売りのビジネスモデルに転換していくことも必須だと考えています。加えて、社内のオペレーションを改善し、⽣産性を追求していくことも⽋かせません。
このようなビジョンを2030年までに実現したいと⽬指していますが、現在はまだ道半ばです。お客様の視点を常に念頭に置き、引き続きビジョンの達成に向けて進んでいきたいと思っています。
そのようなビジョンの実現に向けて、現在着⼿されているプロジェクトはありますか。
空質空調社では全社で⼀枚岩となってお客様と真摯に向き合い、価値を最⼤化できるよう、顧客接点を強化する4つのプラットフォームの構築に取り組んでいます。
1つ⽬が顧客や案件情報の集約・活⽤を促す「カスタマープラットフォーム」です。営業やマーケティング活動をデータドリブンに展開し、潜在的なニーズを引き出すことを⽬指しています。
2つ⽬が「PRM(パートナー リレーションシップ マネージメント)プラットフォーム」です。納⼊事例や商品・技術情報をまとめたオウンドメディアを適正化しつつ、設計積算ツールやデジタル営業ツールを提供することで、設計事務所などのパートナー企業の建築主への提案⼒を強化し、事業価値の最⼤化につなげていければと考えています。
3つ⽬が「サービスプラットフォーム」です。IoT技術を結集した「HVAC CLOUD(ヒーバッククラウド)」を核として、⼯場やビルなどに⼊っている空調機器のデータを収集・分析して劣化診断や故障予知につなげ、整備や商品⼊れ替えの提案などを⾏うことで、お客様にとってのサービス価値を⾼めます。
4つ⽬が「デリバリープラットフォーム」で、物販からエンジニアリング、サービス、経営管理・会計機能を持たせることで、他にはないオペレーションの優位性をつくり出していきたいと考えています。
先ほどグローバル拠点についてもお話がありましたが、今後のグローバル展開はどのようにお考えですか。
特に欧州市場への取り組みを強化する⽅針です。その理由は、欧州では環境規制が厳格であり、低環境負荷の空質・空調機器に対する需要が⾼いからです。現在、ヒートポンプ式の暖房機や⽔循環構造の空調機の販売は拡⼤傾向で、当社が「⽔」と「空気」の分野で培ってきたコア技術を活⽤し、欧州市場での事業拡⼤を⽬指しています。
ビジネスの変⾰をリードするDXセンターとは
今回採⽤を強化するDXセンターは、どのようなミッションを担う組織なのでしょうか。
DXセンターは、「『感動』と『創造』。未来のため、お客様のため、モノ・コト・ココロすべてをつなぎ続ける」をミッションとして掲げ、当社のビジネス変⾰をリードする使命を持った組織です。デジタルおよびデータを活⽤しお客様に対して、新しい価値を⽣み出す「真のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を実現するために存在しています。
DXセンターには現在60名強が所属。「我々はデジタルを活かしビジネス変⾰をドライブする、"めっちゃ"たのしく挑戦し続ける⼀⼈ひとりの集合体」というビジョンのもと、「顧客志向(価値提供を最優先)」「脱・既成概念(進化し続ける勇気をもつ)」「多様性を尊重(相⼿を思いやり協働する)」「シンプルに考える(早く最⼤の価値をお届けする)」というバリューを意識しながら、⽇々プロジェクトを推進しております。
顧客志向でビジネスを最適化し、真のDXを⽬指す
貴社の抱える課題と、それに対するDXセンターの取り組みについて教えてください。
これまでパナソニックの空質事業と空調事業は、それぞれの課題感のもと市場およびお客様と向き合い、個別最適を追求した業務システムや組織構造になっていました。それが2021年に空質空調社として統合されたことで、現在はさらなる価値創出に向け、グローバルで⼀体となり、お客様にとって最適化された仕組みの構築が求められています。
製品や部⾨ごとにベストを尽くしていたシステムや組織のあり⽅に「機能軸(開発・製造・販売)で横串」を刺し、全てのバリューチェーンおよび商品・サービスをデータでつなぎ、パナソニックの総合⼒を活かしたソリューションの提供を⾏えるようにすることは、さらなる事業成⻑のうえで⽋かせません。
そのためにも現在、各事業部から担当者を選出し、サービス内容や顧客情報の再定義を進めています。各事業の取り組みと課題、利点を洗い出し、これまでは描き切れなかった事業の真の全体像を明らかにすることで、横連携をさらに強化していければと考えています。現在進めているDXセンターの取り組みが、当社にとって、⼤きな転機となることは間違いありません。
改⾰のロードマップは、どのようなものを描かれていますか。
現状イメージしているスケジュールとしては、2023年から新体制をスタートさせ、開発と製造、販売・サービス提供、経営管理の観点でさまざまなプロジェクトを⾛らせながら、事業基盤に変⾰を起こしていく計画です。
そして、まずはIoTデータを活⽤した総合的な提案を開始し、当社ならではの循環型ビジネスを確⽴させていきたいと考えています。お客様にとって最も快適な空気環境の提供を実現すべく、データを活かしたソリューション事業をさらに進化させていきたいと構想しています。
あわせて、欧州における新たな事業モデルを成功させ、それをアジア、北南⽶にも展開していきます。
変⾰の旗⼿となる、これまでの30年をさらに進化させる好機
⼤きな変⾰期を迎えているこのタイミングで、貴社のDXセンターに参画する醍醐味や得られるキャリアについて教えてください。
デジタル戦略を通じて、世界を代表し、⽇本経済にも⼤きな影響⼒のある当社の変⾰の旗⼿として、経営とDXの最前線に⽴つことができる。これが、現在のDXセンターに参画していただく醍醐味だと思います。
私は前職時代にも多くのデジタル戦略に関わった経験がありますが、そのときに感じていたのは、クライアントが抱える真の課題について社外からではドライブしきれないことと、最終的な意思決定までは関与できない歯がゆさでした。
パナソニックでは、描いた戦略を共感と共に粘り強く推進することで、世界中の⽣活者の幸せまでをデザインできます。今回、当社の変⾰の根幹に関わり、社会的なインパクトのある戦略と実⾏に携わるという、皆様のキャリアにおいて貴重な経験を積んでいただけることと思います。
DXセンターとして、どのような⽅に仲間になっていただきたいでしょうか。
DXセンターでは、パナソニックという⼤規模な組織のなかでさまざまな関係者と連携や調整を図りながらプロジェクトを動かします。各プロジェクトを牽引していく⼒強さと推進⼒、積極性のある⽅にぜひ参画していただきたいです。
販売や⽣産、保守などの複数領域の業務経験があり、システムベンダーなどで上流⼯程を担ってきた⽅などは、プロジェクトの実⾏に携わってきた経験をすぐに活かしていただけるでしょう。欧州での事業も拡⼤させていきたいため、グローバルにプロジェクトを推進してこられた⽅のご応募もぜひお待ちしています。
戦略的に物事を考え、DXによって新しい顧客価値を創造し、具体的に実現させる実⾏⼒のある⽅、これまでの世の中との差分を⽣み出したいという、⾼い志をお持ちの⽅にぜひ⼒になっていただきたいです。
ただ、DXセンターでの業務は広く・深いからこそ、採⽤ではまずはマインド⾯を重視したいと考えています。徹底的な顧客志向と圧倒的な当事者意識を持ち、「挑戦・成⻑・貢献」のサイクルを回すことに喜びを感じていただける⽅とともにプロジェクトを動かしていけたらと思っています。
新しく⼊社される⽅には、どのように活動することを期待していますか。
当社には前⾝企業から合わせると100年以上の歴史があります。新しく⼊社される⽅には、⻑い歴史のなかで築き上げてきたものへ尊敬と感謝を⽰しつつ、今のお客様に対して必要なソリューションや新しく提供すべき価値を、ご⾃⾝の経験も活かしながら⾃⾝の働きがいと組織ミッションを整合させ、突き詰めていただけたらと思っています。
ほかのメンバーに遠慮することなく、これまでの経験や知⾒をもとに新たな視点で発⾔や提案をしていただき、当社に新しい⾵を吹き込んでくださったらうれしいですね。
DX推進を成功させ、新しい地⽅創⽣のカタチをデザインする
最後にDXセンターにて戦略企画を担当する⼭⽥さんから、同センターにかける思いや、パナソニックグループのなかで挑戦したいことについて教えてください。
ITによって失ったものを、ITの⼒で取り戻し、地⽅創⽣に貢献する。これが私の志であり、パナソニックという⼤きなフィールドを通じて実現したいことです。
地⽅の経済は、ITの急速な進化によって企業業績の⼆極化が進んでいます。個⼈的な話をすると、私の実家は東北でパナソニックの家電製品を扱う電気設備業を営んでいましたが、2000年以降の⼤きく変化するビジネスモデルに追従できず、経営が苦しくなったことがあります。
また、故郷をはじめ、地⽅には⼤⼿企業の⼯場が数多く設置されています。そうした⼯場は地域住⺠の雇⽤を⽣んでおり、ときには町⼀つ分の⼈数が⼯場および協⼒会社で働いているほど、地⽅にとっては⾮常にインパクトのある存在です。パナソニックも地⽅に多くの⼯場を持っており、その影響⼒は⼤きなものがあります。
だからこそ、私はDXセンターの使命を通じてパナソニックグループの顧客提供価値の最⼤化と国際競争⼒の⾶躍的な向上を実現させ、地⽅の雇⽤や経済の活性化につなげていき、新しい地⽅創⽣のカタチをデザインしていきたいと思います。課題先進国ならではのコンセプトは⽇本のみならず、世界中に今後適応するものと認識しております。
パナソニックは、これまでの歴史と功績を含めて世界からの注⽬を集めることができる企業です。「Japan as No.1をもう⼀度」といわれることも、夢ではないと思っています。DXセンターに個⼈の思いも乗せて、⼤きなビジョンを実現したい。そのような志を持った⽅とお会いできることを楽しみにしています。
出典:ビズリーチ 公募ページ「パナソニック株式会社 空質空調社」(2023年8月24日公開)より転載
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*所属・内容等は取材当時(2023年8⽉)当時のものです。
当社は「空気」と「⽔」の環境テクノロジーを軸に事業を展開しています。空質事業では換気扇などの換気送⾵機器やジアイーノなどの空間除菌脱臭機、空気清浄機に加え、トンネル換気送⾵システム、環境エンジニアリング事業などを⼿がけており、空調事業では家庭⽤エアコンやオフィス・店舗⽤エアコン、ビル⽤マルチエアコン、ガス空調、⾃然冷媒として⽔を利⽤した空調システムである吸収式冷凍機、さらにはエコキュートなどの温⽔システムや⽔浄化設備といった⽔に関わる事業を⼿がけています。
グローバルで事業を展開しており、欧州・⽶州、そしてアジアに開発・製造・販売・エンジニアリングなど三⼗数拠点を保有しています。各国の環境政策なども踏まえながら、当社の技術や製品、安⼼・安全、快適な空間をより多くのお客様に届けられるよう努⼒を重ねています。