パナソニックの#はたらくってなんだろう
地に足がついた実利を取るデジタル経営変革で、製造業の未来を変える

見えないところから世の中を支える電子部品やデバイス、電子材料などを製造し、社会インフラを支えるパナソニック インダストリー株式会社(以下、インダ)。「未来の兆しを先取り、お客様とともに社会変革をリードする。」を2030年のビジョンとして掲げ、全社横断のデジタル経営変革を推進しています。それに携わる魅力、現在地や今後の展望などについて、デジタル変革共創本部でさまざまな取り組みをリードする山田紘太郎氏にお話を伺いました。
プロフィール
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山田 紘太郎
パナソニック インダストリー株式会社
デジタル変革共創本部 DX戦略部 バリューチェーンDX課
目次
豊かな社会に貢献するための、デジタル経営変革への挑戦
インダではなぜ今、デジタル経営変革を推進されているのでしょうか。
デジタル経営変革を進めた先に目指す事業の在り方、提供したい価値はどのようなものでしょうか。

前提として、デジタル経営変革は継続的に実施していくものだと考えています。なぜなら、デジタルは目まぐるしく変化・進化するものであり、ビジネスにおけるデジタルのあり方も都度見直しが必要だからです。
私たちが推進するデジタル経営変革には3つのステップがあります。1つ目は、アナログの業務をデジタル化し、個々の業務効率化を図るとともに、データ利活用の入り口をつくる。2つ目は、いつでも活用できるデータをデジタル技術により業務改革、オペレーション強化につなげる。3つ目が、デジタルを用いた業務やビジネスモデルそのものを変革する。
そのなかで、私たちがまず注力すべき領域は利益率の向上であり、その先でいかに市場に付加価値を提供できるかを重視しています。QCD(品質・コスト・納期)を満たした製品を提供するだけでなく、デジタルを活用することでこれまでなかった付加価値を加え、ビジネスのデジタルシフトを起こせないかを考えています。
例えば、関係のある販売店とインダとの間で顧客基盤を共有できれば、ニーズに合った顧客満足度の高い商品開発につなげることができます。また、お客様と密に信頼関係を築き、部品在庫を共有していただけるようになれば、お客様の部品在庫に応じた生産計画を実行することが可能になり、双方のビジネスにおける無駄がなくなるでしょう。こうしたBtoB特有のビジネスのデジタルシフトも期待できるのです。
このように、時代によって変化するお客様のニーズに合わせ、新しい価値を生み出していきたいと考えています。
ビジネスに直結する生産性向上・業務効率化を進め、経営を変革する
インダのデジタル経営変革における現在のテーマや具体的な取り組みについて教えてください。

インダのデジタル経営変革のテーマは大きく2つあります。「オペレーション強化による生産性向上」「現場発のDXによる業務効率化」です。
インダが目指しているのは、ビジネスにおける収支や財務に資する生産性向上です。そのためには、現場を主体とした業務の合理化や効率化が欠かせません。BIツールやRPA(Robotic Process Automation)を活用して不要な業務を省いたり、自動化したりといったオペレーションの強化をする必要があります。
「オペレーション強化による生産性向上」の取り組みとしては、お客様のニーズに合わせて提供していた複数のデバイスから収益が悪化してしまった製品を可視化し、ビジネスとして成立させるための優先度を付けるプロジェクトなどがあります。プロジェクトでは、収益が悪化した原因の調査・分析も行っています。
「現場発のDXによる業務効率化」においては、現場のデジタルリーダーを筆頭に現場改善に取り組んでいます。例えば、不良率や設備のリードタイムの悪化を招く仮説を立て、関連するデータの取得・分析を行ったうえで、不良が発生するパラメータを見極めています。
さらに、現場発のDXを推進する仕組みとして、DXアンバサダーを設定しています。DXアンバサダーは、組織のリーダーとして現場のデジタル変革を牽引し、デジタル人財の拡大を図っています。
事業・エンジニアリング・コンサルティングの視点を総合し、変革に挑む
山田さんはインダにキャリア入社されたそうですが、転職の経緯や入社の決め手について教えてください。

インダに入社する以前は、電機機器メーカーとコンサルティングファームを経験しました。
電機機器メーカーでは、技術特許の取得や製造業に対するソリューションビジネスを展開していました。この仕事を通じて、私は技術者が生き生きと働ける環境をつくりたいと思うようになりました。技術者にとって楽しく感じられるのは、自分たちで企画してモノづくりをしていく過程だと私は考えています。しかし、想いを込めてつくった製品が収益に結びつかなければ、報われない気持ちになります。
では、どうすれば技術者が無駄な業務に煩わされることなく存分にケイパビリティーを生かすことができ、製品はさらに売れるようになるのか。その答えを求めてコンサルティングファームに入社しました。そこでさまざまな業務に携わるなかで、社内にDX組織を持ち、内から変革できる可能性を感じたインダへの転職を決めました。
入社後、インダのデジタル経営変革にどのような印象を持ちましたか。

入社直後は、国内外にある各拠点によって進んでいるところ・手が付けられていないところがまだら模様であると感じました。そこで、インダ全社のアセット化や取り組みを加速するための体制づくりが必要であると考えました。
実際にデジタル経営変革に携わってみると、大変である一方、非常に大きなやりがいがあります。「ここを動かせば全体が動いていくだろう」というドライバーを見つける楽しみ、ドライバーを動かす仕組みを構築するコンサルタント的な醍醐味、その仕組みを効率化するために開発していく開発者としての手触り感。まさにやりたかったことで、これまで経験したポジションでの経験が生かせそうだと思いました。
全社がステークホルダーとなり、実感し始めたデジタル経営変革の手応え
現在の業務内容についてお聞かせください。

社内におけるプロジェクト推進の一部分をリードしたり、システム開発の内製化に必要な開発プロセスをつくったり、DX組織に必要なプロセス構築をしたりしています。また、企画系の業務として、企画・構想設計および、注力すべきガバナンス項目の検討なども行っています。
私が最近携わったプロジェクトの1つに、デジタルツール開発のプロセス構築があります。ステージゲート法を用いて、企画を立ててそれを検証し、ツール化していく一連のプロセスを構築しました。実際のプロジェクトではこの開発プロセスに基づき、事業に貢献するデジタルツールの開発を行っています。
プロジェクトのステークホルダーは、インダの全部門が対象となります。課題は事業部門と研究開発部門の双方から挙がってきます。そのときどきにおいて各部門のメンバーと合意形成をしながらプロジェクトを推進していきます。
インダのデジタル経営変革の現在地と、今後入社する方がそこにどうかかわっていくことになるか、お聞かせください。

デジタル経営変革はここまで地道な取り組みを重ねることで少しずつ成果につながっていると感じます。なかでもバリューチェーンDXは運用段階にやっとこぎ着けることができました。
まだまだ乗り越えるべき局面はたくさんあります。今後入社される方にはお持ちの専門性やご経験を遺憾なく発揮し、デジタル経営変革を一緒に推進していただきたいです。
また、今のインダだからこそ経験できることもあると思います。例えばコンサルティングファーム出身の方であれば、課題を特定する能力を生かしていただきつつ、さらに現場に入り込んでそれを解決するまでの一連の経験ができます。開発経験のある方は、ツールの開発スキルを生かしていただきながら、現場の業務や組織を理解し、効率化の視点から成果につながるツールを開発する経験ができます。成果や事業への貢献を意識した経営視点を磨くことができるのも、経営変革にかかわる組織ならではの魅力だと思います。
変革マインドを持ってデジタル経営変革を推進するチームへ
デジタル経営変革を推進するにあたって、どのような人財を求めていますか。

ハードスキルとしては、ITの知見もしくは業務知識を持った方を求めています。ITの知見というのは、会社全体を俯瞰して見たときに、どの業務に対しどんなITが必要かを把握できる能力を想定しています。また、業務知識に関しては、例えば営業担当者としてSCM(サプライチェーンマネジメント)を見たときに、「自分がどれだけ売り上げを上げるか」ではなく、「全体として売り上げを向上するための仕組みをどう構築するか」を考えられる方です。入社時にいずれか一方の知見・知識があれば、研修や入社後の業務を通じてもう片方のスキルを身に付けられる環境もあります。
ソフトスキルについては、ステークホルダーと粘り強くコミュニケーションを取り、プロジェクトを推進できる方に来ていただきたいです。経営変革を進める過程では、反発を受けることもあります。なぜ変革が必要か、その目的や意義を丁寧に説明し、人を巻き込んでプロジェクトを前に進められる方に参画していただけると心強いです。
加えて、変革マインドも必要です。変革の必要性を客観的に考え、推し進めるマインドも重要になります。会社としては目的・未来志向で挑戦し続ける企業風土の実現を掲げているため、これらのスキルを生かして挑戦したいという想いを持った方はご活躍いただける環境だと思います。
キャリア入社から活躍されている方には、どのような方がいらっしゃいますか。

コンサルティングファームや事業会社の出身者など、バックグラウンドはさまざまです。研究開発領域や生産技術領域、営業として顧客基盤構築に携わっていた人など、個人の経験や強みも多岐にわたります。
入社後の早期活躍とスキルアップを実現できる成長環境
キャリア入社者が早期活躍するためのサポート体制などはありますか。

まず、業務領域の知識を持った方に対しては、当社におけるデジタル人財育成のための研修を活用してIT領域の知識について学んでいただきます。IT領域の知見を持った方には、業務領域のキャッチアップに特化した研修もあります。こうした研修を受けた後、早い方で2カ月目から少しずつ、実務の現場に入っていただいています。
IT領域出身の方は何らかのプロジェクトに携わった経験を持つ方が多いですが、業務領域出身の方にはプロジェクト経験のない方もいらっしゃると思います。このような場合でも、ロジカルシンキングやWBS(作業分解構造図)といったプロジェクトに必要な考え方を学べる環境も整っています。プロジェクトのアジェンダを埋めていくことで思考をサポートするツールがあり、プロジェクトの作法を学んでいただくこともできますので、これまでプロジェクトを経験したことのない方でもご安心ください。
この記事をご覧になっている方のなかには、DX組織での業務は難しそうだと感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最も必要なのは変革マインド・やる気です。これらを持ち、デジタル経営変革に貢献したいという強い想いを持った方をお待ちしています。
出典:ビズリーチ 公募ページ「パナソニック インダストリー株式会社」(2024年9月19日公開)より転載
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*所属・内容等は取材当時(2024年9月)のものです。
デジタルによる経営変革は、中長期を見据えて今から取り組むべきことです。これは全社の共通認識です。
また、製造業では、少子高齢化による労働人口の減少が共通の課題となっています。現在のビジネスモデルに対して、従来型の業務プロセスをそのまま続けていると、業務の要員数を満たす人材が枯渇し、いずれ破綻してしまうでしょう。製造業の持続可能性を高めるうえでも、デジタル経営変革は必要不可欠な取り組みだと考えています。
製造業共通の課題に加えて、当社の持つ社会的責任の観点からも、デジタル経営変革を推進すべき理由があります。
インダはパナソニックグループとしての歴史や基盤があり、社員数も拠点数も多い事業会社です。デジタル経営変革で生産的・効率的な職場づくりに取り組むことは、社員が生き生きとした毎日を送ることや、より多くの雇用を創出することを目指せるため、社会的責任を果たすことにもつながると考えています。
当社には、サーバーなどの通信インフラに搭載される電子部品を開発・生産する拠点や、製造現場の生産工程を支えるデバイスを生産・販売する部門があります。昨今、原料価格の高騰が課題となっていますが、当社は産業インフラ(自動車部品・工場自動化ソリューション・デジタルに欠かせないサーバー部品)にかかわる企業として、適正な価格で製品を市場に提供できるよう、コストリダクションに努めています。そのために必要な原価費目の精緻化および精度向上と、原価低減施策の一つとして、デジタル活用は有用だと考えます。