パナソニックの#はたらくってなんだろう モータを核としたシステムで、モノづくり現場の革新に挑戦する

腕を組む楠亀 弘一さん

電動化・自動化によるモビリティや社会インフラの進展に、「強いデバイスを核としたソリューション」で貢献することを目指すパナソニックのインダストリアルソリューションズ(IS)社。とりわけ工場の省人化を実現するFA(ファクトリーオートメーション)事業は、世界的な高齢化を背景にニーズが伸び続けている重点領域の一つです。今回はFAソリューション領域を担う産業デバイス事業部で、プロフェッショナル人材を募集。産業デバイス事業部が現在迎えている変化や注力している取り組み、ここでしか得られないキャリアについて、同事業部の楠亀弘一氏にお話を伺いました。

2021年09月

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プロフィール

  • 楠亀 弘一

    パナソニック インダストリー株式会社

    楠亀 弘一さんの顔写真

「モータ単品のビジネス」から「モータを核としたシステムのビジネス」へ

はじめに、産業デバイス事業部の概要とミッションを教えてください。

産業デバイス事業部は、FA機器に搭載される、サーボモータやセンサ、コントローラなどのFAデバイスの開発・販売を行っている部署です。製品は半導体製造装置、レーザ加工機、AGV(無人搬送車)、多関節ロボットなどさまざまな機器で採用されており、特にモノづくりの主戦場である中国市場においてトップクラスのシェアを獲得しています。

高性能・高信頼のFAデバイスおよびシステムの提供を通じて、お客様であるFA装置メーカーの困りごとを解決するのがわれわれのミッションです。また、FA事業は、パナソニックの注力事業領域であるデバイスを担当するIS社のなかでも、成長の柱の一つとして投資が拡大されている事業。今後、よりいっそうの開発体制の強化、新商品・新事業創出の加速により、事業成長していくことも期待されています。

産業デバイス事業部が現在迎えているフェーズ、また注力している取り組みについてお聞かせください。

FAデバイスのなかでもとりわけサーボモータは、極めて幅広いFA装置に搭載され、加工・搬送・位置合わせなどの「駆動(モーション)」をつかさどるキーデバイスです。パナソニックは、家電で培ったモータ技術を基に、約40年前からFAサーボモータ事業に参入。高速・高精度・高トルクといった基本性能の高さにより、お客様から高い評価をいただいてきました。当社製サーボモータは2018年、2019年※も中国市場にてシェア1位であり、その他のアジア諸国においても、より高性能・高信頼が求められる半導体などの市場では、より広く使われています。(※2020年の実績は調査中)

以前は、こうした基本性能の高いモータ単品を開発し、お客様にご提供するのがわれわれのビジネスでした。しかし、今やそれだけでは十分ではありません。「モータ単品のビジネス」から、「モータを核としたシステムのビジネス」へと拡大を図っていく。それが現在のフェーズです。

例えば、近年、ロボットや工作機械では、複数のサーボモータの連携駆動が求められます。さらにこれらのモータとカメラやセンサを連携させて、より正確な位置合わせを行うこともあります。こうしたことを実現するには、モータやコントローラ、センサ(カメラ)をつなぐ高速で安定したネットワークも必要になります。

加えて、サーボモータの速度やトルクが上がると、それを搭載したFA装置はその動作の反動で振動します。この際、どの程度振動しているかを計算したうえで、振動を抑える、あるいは振動を考慮に入れた設計を行うことも求められます。

このように、現在はサーボモータ単品の基本性能だけでなく、「サーボモータを核としたシステム」としての性能が強く求められるようになっているわけです。そこを強化して、ソリューションとしての価値でお客様の困りごとを解決していくことがますます重要になっています。

モータ、センサ、コントローラを一体開発する体制を推進

話す楠亀 弘一さん

そうしたなか、競合他社にはないパナソニックの強みとはどのようなところなのでしょう。

大きく2つあると考えます。1つは、「お客様に寄り添った開発を実践してきた」ことです。サーボモータに求められる「システムとして」の機能・性能は、業界ごと・お客様ごとに異なります。そこで、当社では以前からお客様のもとに技術者が直接伺って、モータが搭載されているFA機器が実際にどういうところでどのように使われているかをしっかり自分の目で見て、そのうえで顕在化している問題や、今後起こり得る問題を予測し、改善策を提案することを徹底してきました。

これらは口で言うのは簡単ですが、実際に行うのは大変です。サーボモータ一つとっても、使われている技術はモータの磁気回路・機構設計から電流制御、エンコーダの光学設計、アンプの信号処理、制御アルゴリズム、装置状態の劣化を把握するAIまで、非常に多岐にわたります。実際にお客様のところに伺う際には、何十人で伺うわけにもいきませんから、一人の技術者が幅広い知識を身につけて、お客様の困りごとに最適な解決策を提案しなくてはなりません。

その点、当社は長年お客様に寄り添った開発を実践するなかで、こうしたことができる技術者が自然と育成されてきました。競合他社が今から始めても追いつくことがなかなか難しい、当社ならではの特長だと思います。

2つ目は、「パナソニック社内の他の事業で培った技術をFA向けに応用できる」ことです。サーボモータ自体、家電向けのモータで培った技術の応用で始まった事業ですが、現在もさまざまな他事業で培った技術を生かした開発を行っています。

例えば、サーボモータを駆動するサーボドライバの高性能化には、車載などで培ったパワーエレクトロニクスや熱・EMC(電磁ノイズ)対策の技術を応用。また、B2Bや車載で培ったAI開発力を生かして、装置の劣化状況把握やサーボモータの自動設定技術も開発しています。今後は、高速な画像認識を用いたサーボモータの制御を実現するために、業務用などカメラ開発で培った高速画像処理技術を応用することも視野に入れています。これらはFAデバイスの開発だけを行っている企業にはないメリットといえるでしょう。

産業デバイス事業部は、今後どのように進化・成長していこうとしているのでしょうか。現在目指しているビジョンをお聞かせください。

近年、モノづくりの現場では、世界的な高齢化を背景に省人化がますます求められるようになっていますし、コロナ禍の影響をきっかけにモノづくりの進め方にも大きな変化が起きています。これまで人が行ってきた作業は、今後サーボモータとセンサを含めたアクチュエーターによる自動化への置き換えが加速していくでしょう。

このような自動化ニーズの増加に対応するため、われわれのお客様であるFA装置メーカーでは、装置立ち上げのリードタイムの最小化や対応力の強化が必須となっています。また中国などでは、これまでサーボモータを使っていなかった中小のFA装置メーカーが、サーボモータを用いた自動化装置の開発に乗り出すケースも増えています。

お客様側でやらなくてはならないことを減らし、リードタイムの最小化につなげていく、簡単に使えるようにするなど、お客様のニーズに応え続けていくには、やはり「モータを核としたシステム」をソリューションとして提供していくことが重要になります。今後は、用途ごとに「最適なソリューションの開発」をいっそう加速していきたいですね。

ビジョンを実現するために、具体的に行っていることはありますか。

従来は当社でも、サーボモータを開発する部隊、センサを開発する部隊、コントローラを開発する部隊と分かれて開発を行ってきました。これに対し、システム・ソリューションとしての開発をいっそう推し進めていくため、2年前からそれら3つの部隊を「産業デバイス事業部」として1つにまとめ、一体開発を行う体制を整えています。

製品としても本年度、モーション制御とPLC(シーケンス)制御を統合したオールインワンモーションコントローラー「GM1」を発売しました。統合開発環境プログラミングツールを採用することで、モーション制御開発の負担を軽減。これにより、従来は開発工数やコストなどの問題でモーション制御ができなかった小型機械などの領域でも利用可能になります。

こうしたことを行っていくうえで、重要になるのはやはり人材です。先ほど申し上げたとおり、従来はデバイスごとに開発部隊が分かれていたため、自分が担当するもの以外、視野に入ってこなかった面もありました。今後はそれらを俯瞰的に理解し、お客様に適したソリューションを提案できる人材の育成にますます力を入れていきます。

最もやりがいを感じるのは、「お客様の想像を超える提案」ができたとき

談笑する楠亀 弘一さん

産業デバイス事業部で仕事をするなかで、楠亀さんご自身はどんなところにやりがいを感じていますか。

一人の技術者としては、自分が設計したものが実際にFA装置に搭載されて、動く様子を見られるのが純粋に楽しいですね。これはロボットやメカが好きな人ならわかっていただけると思います。

一方で、産業人として一番やりがいを感じるのは、お客様の想像を超える提案ができ、装置性能の向上に貢献できたときでしょう。特にFAデバイスは、お客様も技術者であることが多いため、お客様の想像を超える提案をしたり、お客様が気づいてもいない課題を見つけたりするのは非常に難しいものです。しかしその分、実現できたときの喜びはひとしおです。

また、お客様が技術者だからこそ、ご提案する技術の重要性や難しさを理解し、高く評価いただけるので、その点も大きなやりがいにつながっています。

他社ではなく、パナソニックの産業デバイス事業部だからこそ得られるスキルや経験についてお聞かせください。

先ほど、「強み」のところでも申し上げましたが、産業デバイス事業部では、パナソニック社内の他部門で培った別の分野の技術をFA向けに応用して開発を行うことも多々あります。これにより、さらに幅広い知識を身につけ、技術者としてレベルを向上させていけるのは、他社にはないメリットだと感じますね。

また、FAほど幅広い技術が求められる業界はないと思いますし、それらの技術全てを包括的に提案できる企業は限られています。パナソニックはまさにそのうちの1社だと、われわれは自負しています。パナソニックにしかできない提案も多数あり、そうした仕事に携わることで他社では味わえない経験やノウハウを積んで成長できるでしょう。

常に新しい技術を学び続けられる方に来ていただきたい

Panasonicロゴを背に立つ楠亀 弘一さん

産業デバイス事業部は現在キャリア採用を強化していますが、その背景を教えてください。

デバイスだけでなくソリューションもセットで提供してお客様の課題を解決するには、お客様のもとへ足を運び、「ソリューションの種」を見つけられる人材が必要です。そのため、他社で多様な開発経験を積んだ方に加わっていただき、新たな視点をもたらしてほしいというのが第一にあります。

特に必要なのは、モーションコントロールのソフトウエアや回路の開発に関わる人材です。当社には、サーボモータの技術者は数多くいるのですが、モーションコントロールの開発を行っている人材はまだまだ不足しています。さまざまな困りごとに対応していこうとすると、多様なモーションコントロールのソフト開発を行わなくてはなりませんし、用途によってネットワークの種類が異なるため、回路設計にも同じことがいえます。だからこそ、人材強化は急務と考えています。

求める人材像について教えていただけますか。

FAの開発には幅広い知識が必要と申し上げましたが、応募いただく時点ではそこまで幅広い知見は求めていません。重視するのはむしろ、「常に新しい技術を学び続けられるかどうか」です。そもそもFAの開発に必要な知識を全て持ち合わせている人材は、多くはありません。何か一つでもコアになる技術を持っており、それに加えて異なる技術にも目を向けて学び続ける意欲さえあれば、必ず活躍していけるはずです。

また、仕事を進めるうえでは、お客様のもとに足を運んで直接話を伺い、お客様の課題を見つけ出すことが不可欠です。そのため、コミュニケーションスキルはもちろん、周囲を巻き込む提案力、自ら課題を見つけ、改善するまであきらめない主体性・行動力といったものも重要になるでしょう。

現在、産業デバイス事業部では、どんな経歴やバックグラウンドをお持ちの方が活躍しているのでしょうか。

産業デバイス事業部は今、急激に事業拡大をしており、ハード・ソフトともに人材を増やしています。キャリア採用の人材も多く、FAの出身でなくても、それぞれの担当分野で中核技術者として活躍しています。

例えばハードウエア開発では、モータドライブに必要なインバータ回路や電源回路などのパワーエレクトロニクスの開発に、車載の回路設計を行っていたメンバーが挑んで成果をあげています。また、サーボモータはネットワークにつながりますので、さまざまな機器のネットワーク回路設計で得た技術や経験も存分に生かせます。

ソフトウエア開発に関しては、「もともと他社でFAのソフト開発を行っていた」というメンバーはほぼいないので、他分野でソフトの構造設計に携わっていた方も大歓迎です。実際、ソフトの品質管理に長けた技術者がサーボドライバのプラットフォーム開発を担当していたり、マイコンメーカーで故障診断機能の開発をしていた技術者がサーボドライバの機能安全対応を担当していたりと、さまざまな働き方が実現されています。

私自身、2年前にこの事業部に配属される前は、車載用のカメラを使った認識技術の開発やシンガポールの拠点でAIの新技術開発を行っていて、FAやサーボモータについてはほとんど知識がありませんでした。しかし自分で学んだり、周りの人に教えてもらったりしながら情報をキャッチすることで、今までとは違ったやりがいを見いだしています。一方で、当事業部にはもともとAIを専門としていたメンバーが少なかったので、その面では自分の知見を生かし、貢献できていると思いますね。

産業デバイス事業部の職場の雰囲気やカルチャーについてもお聞かせください。

先ほど申し上げたとおり、当事業部にはキャリア採用の人材も多く、さまざまなバックグラウンドを持った人材が集まっています。それもあって非常にフラットで発言しやすい環境だと感じています。「これは当然知っているはず」といった、知っていることを前提とした会話はほとんどないので、困ったことや気になることをいつでも気軽に相談できる環境です。

また、若いメンバーが多いのも特徴かもしれません。30代のマネージャーも数多く活躍していますし、私自身、39歳で産業モータ先行開発部の部長を務めています。年齢に関係なく活躍できる職場で、そうした意味でもフラットといえるでしょう。

最後に、記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

FAの開発は、お客様ごとに求められるものが異なるので、小規模な開発が数多く存在します。しかし、担当するお客様の懐に飛び込んで、自分の目で真の課題を見つけて改善提案をしていくため、大きな開発の一部分だけを担うのと違い、「自らの手で実現できた」といえる強い達成感を得られます。

そうした達成感を味わいつつ、自分の力で世の中に変革を起こしたいという方には、非常にやりがいがある仕事だと思います。これまで培った知見やスキルを武器に、自分の新たな可能性に挑みたいという方は、ぜひご応募いただければと思います。

出典:ビズリーチ 公募ページ「パナソニック株式会社」(2021年8月12日公開)より転載
https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/sflixbd/

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*記事の内容は取材当時のものです。

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