パナソニックの#はたらくってなんだろう 安心や便利を広げて、くらしを面白く進化させよう。~HOME IoTソリューションAiSEG2~

AiSEG2

社会課題を解決し、世の中に新しい価値を提案するために。パナソニックは技術革新だけでなく、これまでにないソリューションやサービスの開発に挑み続けています。
今回は、大手ハウスメーカーさまに次々と採用され、市場のリーダーとなった「HOME IoTソリューションAiSEG2」の開発者たちに話を聞きました。

2020年09月

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製品名 HOME IoTソリューションAiSEG2
担当 パナソニック株式会社

家中の機器をつなぎ、住まいにおける「できたらいいな」を実現してくれるAiSEG2。「時短・便利」につながるエアコンや照明の遠隔操作、宅配ボックスの着荷通知など、「安心」につながるドア・窓の見守りや子供の帰宅チェック、さらには「自家消費」を最適にするエネルギー管理や天気予報をもとにエコキュートやEV充電器をかしこく制御するAI ソーラーチャージ®機能など、実用的なサービスを多く搭載しています。定期的なソフトアップデートにより、すでにご利用のお客さまにも今後新しく加わる機能をお使いいただくことが可能です。

目次

  1. 【TALK 1 「HOME IoT時代」のプロダクト】
    「できること」の拡張を積み重ねて、日々のくらしをもっと面白くする!
  2. 【TALK 2 ユーザーファーストで考える】
    自発的なプラットフォームの見直し、新しいHOME IoTの形が定まる。
  3. 【TALK 3 さらなる価値提供へ】
    時代やライフスタイルが変われば、AiSEG2も変わり続ける。

【TALK 1 「HOME IoT時代」のプロダクト】
「できること」の拡張を積み重ねて、日々のくらしをもっと面白くする!

手塚、笠嶋、田中の会話の様子

左から:[システム設計]手塚 義隆 [サーバ開発]笠嶋 康司 [ソフトプラットフォーム開発]田中 敬一

エミット・ホームシステム、ライフィニティからAiSEG2へ、時代とともに進化。

AiSEG2はどのような経緯で生まれましたか?

笠嶋

AiSEG2の起源は、2003年に当時の松下電工(現:ライフソリューションズ社)で商品化したエミット・ホームシステムです。インターホンを中核として、ガラケーから家をコントロールするという、今のAiSEG2と相通じるコンセプトでしたが、需要も技術もまだ発展途上でした。

手塚

転機になったのは2011年の東日本大震災です。効率的なエネルギー管理が差し迫った問題として浮上し、エネルギーを見える化させて、家電や電気設備を最適にコントロールするHEMS(Home Energy Management System)が脚光を浴びました。

田中

「かしこいエネルギー管理システム」をめざし、AIとSEG(Smart Energy Gateway)から名付けたAiSEGを2012年に発売。電気・ガス・水道の使用量測定や家全体の電力収支を割り出したり、エアコンを自動で制御して無駄遣いを防いだりと、新しい価値を市場に問いかけました。

笠嶋

AiSEG2では、省エネ機能に加えてHOME IoT機能をプラスしました。前モデルとの大きな違いは、アップデートの機能です。HOME IoTはもっとくらしを面白くできると確信がありましたが、生活者が求める機能の絞り込みには試行錯誤を続けていました。

左:開発環境にドアや窓枠を再現したデモ機を設け、AiSEG2の端末から制御した際の挙動を詳しく調べる。
右:宅配ボックス用のセンサーと連動し、荷物が届くとスマホにお知らせが届く。家に近づくと再度お知らせが届き、取り忘れがなくなる優れもの。

田中

そこで、AiSEG2は「余白を持たせる」商品設計へと方針転換しました。メモリを多く積むなどハード面でゆとりを持たせ、要望を生かして「できること」を拡張していけるようにしています。

手塚

例えば、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の買い取り期間が終了しだす2019年に向けて、不安の声に応えるAIソーラーチャージ®機能を開発しました。翌日の天気予報から発電量を予測し、生活パターンを学習して、余剰電力を電気自動車や湯沸かしに効率よく使用できます。これは2018年春に機能を搭載させました。

笠嶋

他にも、玄関扉の解錠や子供部屋の電気使用量、トイレ利用などから子供の帰宅を判別するチェック機能などもあります。潜在ニーズを満たすサービスを今後も増やしていく予定です。

自社・他社問わず。オープン戦略で家中をコントロール。

AiSEG2は多くの他社製品に対応しています。その理由は。

手塚

発売当初のAiSEGは独自の通信プロトコル(機器と通信をする際の手順や規則などの約束事)を使っており、接続対象が自社製品にとどまっていました。AiSEG2では前述した商品設計の見直しと合わせて標準プロトコルにも対応し、他社の機器と接続するハードルをぐっと下げました。

田中

採用した通信プロトコルは、経済産業省が推進する「ECHONET Lite」です。注目を集めた新しいホームネットワーク規格で「IoT機器の接続が容易になる」という触れ込みでしたが、開発は容易ではありませんでした。

笠嶋と手塚の会話の様子1

笠嶋と手塚の会話の様子2

手塚

シミュレーターでは動作するのに、現地で期待通りに動かないことが度々ありました。相互接続性を確保するための仕様が曖昧で、メーカーごとに仕様の差異もあるので、NDA(秘密保持契約)を締結、各社から仕様を開示していただいています。何より他社からの協力を得るのが難関でした。まず自社製品で接続の輪を広げると同時に、一社ずつ地道に積み重ねた結果が今につながっています。

田中

新しいトレンドにも目を配っています。海外でスマートスピーカーが発売されるや否や、すぐに取り寄せて、AiSEG2との連携を検討しました。まずは実演ありきと思い、プロトタイプを急いで作成し、「この連携は必ず面白くなる」と社内を説得して回りました。

笠嶋

現在では日米2社のスマートスピーカーに対応しています。アメリカ製との接続では日米の法令の違いが立ちはだかりましたが、粘り強く交渉し、基準をクリアするためのプログラムをインターフェース仕様に組み込んでもらいました。また、発話に対する応答性向上のために、AiSEG2とサーバ間の通信仕様を一新しました。

手塚

ハウスメーカーさまでAiSEG2の標準化が進むにつれて、協力企業が増えてきました。ただ、中身を知り尽くしている自社製品と他社製品で、連携機能は差別化しています。AiSEG2を核として自社システムの価値アップを実現し、他のパナソニック製品の購入意欲にもつながっています

【TALK 2 ユーザーファーストで考える】
自発的なプラットフォームの見直し、新しいHOME IoTの形が定まる。

大内田と田垣の会話の様子1

左から:[ソフト開発]大内田 洋 [商品主担当]田垣 憲一

「やらされている」より「やりたい」がモチベーション。

AiSEGからAiSEG2への進化はどのように発展しましたか?

大内田

より広い選択肢をお客さまに提供するため、2015年にAiSEGは初めて他社製品(電動窓シャッター)と接続しました。ただ、AiSEGは拡張を前提とした商品設計をしておらず、2機種以上との接続では制御に不安を抱えていたのが実情です。

田垣

それを受けて、「次期IoTプラットフォームの独自構築が不可欠」という声が上がるようになりました。その上に他社を含めたさまざまな機器をつなげば、「できたらいいな」の幅が広がるのではないか。誰かに言われたわけでもなく、商品を良くするためには必然だとみんなが考えるようになっていきました。

大内田

壮大なビジョンを実現できたのは、課題の捉え方や解決策などが違う別事業部出身のメンバーも含めて、全員が一つにまとまれたからです。既存メンバーとは異なる発想をもたらしたことで解決できた場面も多かったです。

左:家の各場所を想定した試験装置で、システムコントロールに問題がないかを一つひとつ詳しくテストする。
右:各メーカーのエネファームを評価ハウスに設置し、実機によるテスト環境を整えている。他にも、エアコンや電気錠など、各社の機種をそろえている。

田垣

当初は意見がぶつかりました。ただ、チームで心掛けていたのは「フェア」であることです。他社との関わりも同様ですが、大きな方向性を共有できていれば、どのアイディアを採用すべきかおのずと見えてきます。今に思えば、AiSEG2のスタートはこの時期の活動にあると思います。

大内田

プロジェクト管理がしっかりしており、チーム内や協力先も含めて、最初に役割分担をはっきりさせています。目の前の仕事に没頭できる環境が整っていました。

ライバルをも味方に引き入れて、良い循環をつくる。

多くの他社と関わるプロジェクトにおいて、大切にしたことは何ですか?

田垣

AiSEG2はBtoBtoCをメインとした商品です。スマートホームの中核機器として、より多くのお客さまに使ってもらうために重要視したのがオープン戦略です。他社製品もネットワークに組み込み、いかに「くらしの質を高めるか」がポイントでした。

大内田

年に2回ほどソフトウェアを更新しますが、次回アップデートに向けて常時およそ20前後の追加機能を開発しています。スマートスピーカーの接続やバグの修正など、追加機能の規模は大小さまざま。その中で難しいのは、自社・他社を問わない連携のあり方です。

田垣

連携相手から「ちょっと違うね」という反応が終盤にくると更新が間に合いません。全ての要望が最初からテーブルに並ぶことはないので、とにかくプロトタイプをつくり、お客さまのフィードバックを探ります。あとは検証の繰り返しです。

大内田

他社メーカーさまの開発拠点でテストをしたことも1度や2度ではありません。そんなときに思い返すのは、「お客さまのために今できることは何か」。みんなで悩んで解決策を見つけられたときの喜びはひとしおです。

大内田と田垣の会話の様子2

大内田と田垣の会話の様子3

田垣

品質保証も大きな壁でした。ひと言に「品質」と言っても、企業によって求めるレベルはさまざまです。時にパナソニック以上の水準を追求する会社もあり、NDAを結んだ上でソフトウェアを渡すなど、とことん腹のうちを明かしました。使い勝手の向上が第一ですから。

大内田

他社メーカーさまとの実機接続検証で初めて見つかる課題もあり、当初想定した連携仕様のままで開発完了できるとは限りません。「今回のアップデートは100点!」と言い切れることは少ない。ただ、段階的に拡張できるので「次回こそ」と仕切りなおして機能を高められるのは強みです。

田垣

遠隔で各機種の様子が分かるAiSEG2は、新しい保守の可能性も秘めています。日々の計測ログと比較して、エアコンの応答に大きな変化が見られたら、能動的にお客さまにアプローチできます。また、建物性能の評価分析など、違った角度から住宅にアプローチすることも考えています。

大内田

お客さまとの接点を持ちたいメーカーに役立つサービスも動き始めています。良い商品をつくるのは大前提ですが、クラウドの利点を生かした方法で、今までにない空間価値を提供していきます。

【TALK 3 さらなる価値提供へ】
時代やライフスタイルが変われば、AiSEG2も変わり続ける。

メモを読む北村

[商品企画] 北村 彩衣

北村

AiSEGの課題は、エネルギーの見える化をメインの機能としており、興味が薄いお客さまは次第に使わなくなってしまうことでした。そこでAiSEG2には便利・快適を軸にHOME IoT機能を追加。連携機器は25社の34機種に及び、業界トップクラスになりました。

これにより大手ハウスメーカーさまを中心に採用が拡大し、2018年度には新築戸建市場のHOME IoTソリューションで占有率1位(当社調べ)に上り詰めました。今では「うちの機種も連携してほしい」の要望が殺到。うれしい悲鳴を上げています(笑)。

AiSEG2で新しく取り組んでいるのが、ハウスメーカーさまの住宅設備管理をサポートするIoTプラットフォームの推進です。住宅設備は売り切りのケースが多く、OB施主さまとつながる機会は限られます。AiSEG2を通じてダイレクトメッセージを配信したり、蓄積したデータを建物の評価分析に生かしてもらったり。今後はさらにデータ活用や他社サービスとの連携を進め、BtoBでのお役立ちにもつなげていく予定です。

現在は主に住宅設備IoTとして開発していますが、忙しい方々にお役立ちしていくためには、家電との連携も必要な要素になっていると感じています。難易度は上がりますが、操作性を進化させるなど、AiSEG2をさらに変えていく必要があるかもしれません。さらなる安心と便利を広げるため、今後もユーザーファーストでくらしに「面白い」をもたらしていきます。

集合写真 左から大内田、田中、北村、笠嶋、田垣、手塚

*記事の内容は取材当時のものです。

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