パナソニックの#はたらくってなんだろう
人生100年時代、なぜミッションが重要なのか?

パナソニック株式会社とFastGrowが共催する学生向けイベント「Mission-driven meetup」の第1回が、2019年5月25日(土)に東京・南青山で開催。真夏のような太陽が照りつける中、会場には、自らの"ミッション"を模索する現役大学生が多数集結しました。
プロフィール
-
柿本 祐輔(かきもと・ゆうすけ)
株式会社エンリッション 代表取締役CEO
同志社大学を卒業後、ワークスアプリケーションズに入社。営業職として約2年半従事した後、2013年7月「世界中の学生に選択肢を与え、人生を豊かに」というミッションを掲げて『知るカフェ』の運営会社であるエンリッションを設立。同年12月『知るカフェ』1号店を母校・同志社大学前に出店、2016年4月には初の海外店舗となるインド工科大学ハイデラバード店をオープンした。2019年4月現在、米国アイビーリーグやインドIITなどの海外店舗を含む31店舗(オープン予定含む)を展開し、約200社の企業がスポンサーとなっている。
「ミッションがビジネスを加速させる」なぜ『知るカフェ』柿本は、設立3年でグローバル展開できたのか? -
片石 貴展(かたいし・たかのり)
株式会社yutori 代表取締役
1993年生まれ。明治大学商学部卒業。2016年、株式会社アカツキに新卒入社。個人でインスタグラムアカウント「古着女子」を立ち上げ、開設から5カ月でフォロワー10万人を突破。2018年4月に初期投資0円"インスタ起業"として株式会社yutoriを創業。他に、ECサイト『9090』やオリジナルブランド『dabbot.』、下北沢にコミュニティスペース『pool』などを展開中。
-
阪田 直樹(さかた・なおき)
特定非営利活動法人アイセック・ジャパン 事務局 専務理事 兼 事務局長
神戸大学工学部電気電子工学科3年生。2019年度特定非営利活動法人アイセック・ジャパン専務理事兼事業局長を務めながら、専務理事として外務省直下の次世代SDGs推進プラットフォームのステアリングコミッティに参画。起業家と投資家の口コミサイトを開発しているHackjpn株式会社で2BSalesを担当し、スタートアップの常識を再定義するために起業準備中。
「徹底的にヒマになれば、本当の自分を思い出せる」アイセック阪田が見出した、やりたいことの見つけ方 -
龍崎 翔子(りゅうざき・しょうこ)
株式会社L&Gグローバルビジネス 取締役/CCO
ホテルプロデューサー。2015年にL&G GLOBAL BUSINESS Inc.を立ち上げ、「ソーシャルホテル」をコンセプトに掲げ、京都・東九条「HOTEL SHE, KYOTO」、大阪・弁天町「HOTEL SHE, OSAKA」北海道・層雲峡のCHILLな温泉旅館「ホテルクモイ」等をプロデュースする。
-
永井 あやか(ながい・あやか)
カフェ・カンパニー株式会社
2017年 関西学院大卒業後、新卒としてカフェ・カンパニー入社。 CAFE=Community Access For Everyone の考えをもつ社内のイノベーション推進担当として、新規事業や社内の風土づくり、新規採用などの分野でコミュニティを企画。学生時代テレビに携わる仕事の中でメディアのあり方に興味をもち、そこから人と人とがつながり新しいものが生み出されるリアルな場所のメディア性に惹かれ、カフェ・カンパニーに入社。
INTRODUCTION 〜Mission-driven meetupとは?〜
大学1〜4年生までを対象とした本イベントのキーワードは"ミッションドリブン"。「自分が大切にして生きたいこと」「自分が社会で実現したいこと」を"ミッション"と定義し、参加者一人ひとりが自分のミッションについて考えを深め、行動につなげていくことがテーマです。
モデレーターを務めたパナソニックの杉山は、「1960年代から変わらない就職活動の仕組み自体をアップデートしていきたいというのがパナソニックのスタンス。仕事に対する考え方や働き方は人それぞれだし、もっと自由でいい。キャリアの多様性が広がる今、改めてみなさんと一緒に"これからの働き方"について考えていきたいと思います。今回登壇される5人の方々も、ミッションについてそれぞれ異なる考え方を持っています。誰がいい、どれがいいじゃなく、いろんな人の、いろんな角度の話を聞いて、ぜひ持ち帰っていただきたいなと思います」と語りました。
Talk Session #1
柿本祐輔「人生100年時代、なぜ"ミッション"が重要なのか?」
就活スタイルへの違和感が"知るカフェ"を生んだ
大学在学中から趣味のスノーボードを通じて社会人と交流していたという柿本さん。ネット中心の就活のすすめ方に違和感を覚えたことが、「知るカフェ」の起業につながったと語ります。
柿本:大学1年生の頃からいろんな業種の社会人と接点を持ち、話を聞く機会があったことで、大学3年生になる頃には、"この会社のこの部門でこういうことをやる"というビジョンが明確にありました。でも周りの友人たちは、とりあえず調べたネットの情報のみで"あ"から順番に受けていくような感じで、そのやり方にすごく違和感を覚えたんですよね。もしもみんなが大学1年の頃から気軽に社会人と接する機会があれば、就活ももっと違う形になるかもしれない。そこから"知るカフェ"のアイディアは生まれました。
自分自身のミッションについて
柿本:"知るカフェ"を最初から自分のミッションとして捉えていたかというと、まったくそんなことはなくて。ただ、起業に向けての成長の場として就職先にワークスアプリケーションズを選んだのは、ワークスアプリケーションズの牧野さん(正幸氏。同社創業社長)がこの会社でやろうとしているミッションを、この人とともに追いかけたいと思ったからです。自分自身のミッションが生まれたのはもっと後になってからで、"この社会的課題をこうやって解決する"という起業目標を掲げたときになります。もし、今、自分自身の中にミッションがないとしても、どんなミッションだったら共鳴して自分も行動できるのかを探す、これだけでも十分だと思います。
How toよりも行動。行動することで選択肢は広がっていく
柿本:僕は昔から考えるよりもまず行動してしまうタイプで、そこからいろんなチャンスが広がった気がします。How toよりも行動。行動することで選択肢は広がっていきます。ミッションや自分のやりたいことは、口にして伝え、行動する。ミッションを探している人は、日常では出会えない人たちと意識的に会い、話してみるというのもいいかもしれません。
今回のイベントでは、「Sli.do(スライドゥ)」を通じて登壇者への質問や各々の想いを発信。"ミッションとは何か"についてさまざまな意見が交わされました。
Talk Session #2
片石貴展×阪田直樹「"ミッション"の正体 〜若手リーダー2名が考える定義と必要性〜」
ミッションは、生きるための言い訳
そもそも"ミッション"って何だろう?そんな疑問から始まった二人のトークセッションは、キャラクターの違いがくっきり浮き出た、楽しくも聞き応えのある内容となりました。
片石:一口にミッションと言っても、会社と個人の視点では違ってきますよね。個人的な視点で言うなら、"ミッション=生きるための言い訳"。"自分はここにいていいんだ"という欲求を担保するものなのかなって思います。僕ら世代だけでなく、何を信じて生きていけばいいかわからないこの時代に、自分の生きる意味をどう正当化するのか。SNSでタレンティブな人が発掘される機会が増えて、普通の人がいきなりスターになったり、いろんな関係性が即座に変化していく。そんな中で、人と自分を比較して"自分、これでいいのか?"って思ってる人って結構多いと思うんです。僕はそれを"何者かにならなきゃいけない病=何者病"って呼んでるんですけど(笑)。
"期待ではなく願いをかける"のが僕のスタンス
片石:僕ら世代は自分と向き合う時間よりも、SNSで他人のことを見る時間の方が多い。そういう現実に結構しんどくなってきてる人も多いんじゃないかなって思うんです。スタンスの取り方はいろいろありますけど、僕の場合、いい意味で人に期待しないというか、人には期待ではなく、願いをかけるようにしています。期待だと見返りを求めちゃうけど、願いなら叶えばハッピーと思えるから。人間関係とか環境とか、自分の意思だけではどうにもならないようなことも、本当に逃げられない状況って究極的にはない。目標を達成するための抜け道は必ずあると思います。
ミッションの起点が本音であることが大事
片石:ミッションって"見つける"よりも、"見つかる"方がいい。好きなものを見つけようとするよりも、本当に好きだと思うものを、大義名分のない世界でむちゃくちゃ深めていく。ミッションの起点が本音であることが大事だと思います。
理想は現状を変えるために持つもの
阪田:今の僕のミッションは"スマートロボットで人間から仕事を奪うこと"です(笑)。元々は、みんなが仕事を楽しくできればいいなということから始まって、でも、いろいろやっていくうちに、みんながみんな楽しくっていうのは無理だなということに気付いて。じゃあどうしたらいいかなって考えたときに、だったらスマートロボットで仕事自体をなくしちゃえばいいじゃん!って。 "こうありたい"という理想は、現状を変えていくために持つもの。僕のミッションも、今はまだ実現できていないけれど、これから必ず実現できるように行動していきたいです。
ミッションが見つからない人はヒマになるといい
阪田:誰かに与えられた目標やタスクの中では、自分が本当にやりたいことってなかなか見つけられないと思うんです。だから、ミッションが見つからない人は、一度ヒマになってみるといい。誰かが決めた時間の使い方、その構造から離れてみることで、やりたいことが見つかるかもしれません。
夢とか目標はもっと青臭くていいと思う
阪田:ミッションってかんたんに言えば夢とか目標みたいなことだと思うんですけど、それがカタカナになることでどんどんわかりにくくなる。ミッションという言葉に影響されすぎて、変にカッコつけちゃったり。僕は、夢とか目標ってもっと青臭くていいと思うんです。だって僕たちはまだ若いし、人生を100年と考えたら、まだ80年近くある。80年ただ生きるのってヒマじゃないですか?ヒマつぶしを探すのも一つの人生だし、せっかくなら大きな夢を描いたほうがいいと思うんですよね。
Talk Session #3
龍崎翔子×永井あやか「"やりたいこと"を見つけるための自分軸のつくり方」
"ミッション"を言語化できたのは最近のこと
この日最後のセッションは、笑顔満開の女子トーク。自分らしさを大切にしている二人の「やりたいことがわからなくても大丈夫」「ミッションは完成しなくてもいい」という言葉に、励まされた人も多いのではないでしょうか。
龍崎:私がホテルをやろうと思ったのは10歳のときで、実際にやり始めたのは19歳なんですけど、それをなぜやっているのかを言語化できたのは22歳か23歳のときなんですね。それまでは"あなたのミッションは何ですか?"と聞かれても、"よくわからないけど、やりたいと思うからやってる"という状況でした。でも、大学生の時点で明確なミッションがないことが悪いとは思わないし、むしろそれが普通だと思うんですよね。
選択の積み重ねが"ミッション"につながっていく
龍崎:私の場合、ミッションを見つけようとして見つけたわけではなく、自分の行動様式だとか価値観、過去に積み重ねてきた選択...そういうものを振り返ったときに見えてきた共通点がミッションにつながっていた、という感じなんです。選択肢が多くないと、自分のアイデンティティーを見つけるのってすごく難しい。そういう意味では、自分の好奇心を知ることもすごく大事だと思います。ただね、やりたいことを言葉にすると、中にはあれこれ言ってくる人がいるんですよ!(笑)。だから、自分の夢は本当に大切な人だけに話せばいいと思う。周りからの評価を怖がってあきらめてしまうぐらいなら、言わずにこっそりやっちゃえばいいんです。
感情は行動に表れる
龍崎:やりたいことが見つからない人は、たとえば、何かを"イケてる"とか"ダサい"と思ったときに、なぜそう思ったのかを考えるクセをつけるといいかもしれません。あと、感情は行動に表れるので、"あのとき自分はなぜそういう行動を取ったんだろう"と振り返ってみる。そうすることで、今まで見えなかった自分らしさやミッションが見えてくるかもしれません。
"こうありたい"という状態が、私にとってのミッション
永井:私にとって、ミッションとは"こうありたい"という状態のこと。でも、達成しなきゃ!みたいな気持ちはまったくないので、それをミッションと呼んでいいのかどうか...(笑)。今日の登壇者の中では唯一、いわゆる会社員として働いています。ただ、会社の一メンバーであっても、ミッションを持って働くことはできるんだよということをお話しできたらいいなと思っています。
自分の感情ととことん向き合った19歳
永井:19歳の頃、"20歳になるまでに自分のことを自分で説明できるようになりたい""信念のある人になりたい"と思って、周りの大人にひたすら話を聞き回っていた時期があって。その頃、なんで自分がそう思うのか、そう感じるのかについて、自分自身に"なぜ?"を問い続けて、ノートに自分の感情をひたすら書くということを始めたんです。自分の感情を知る筋トレですね。何十冊も書き続けて気持ちを観察していくうちに、自分の感情のディテールが少しずつわかってきて、自分らしさというものに少し自信がつきました。
感情を投げかけた"その先"を知りたい
永井:自分のことをいいね!と認めてくれる環境は必ずどこかにあるはずなので、今いる場所にしばられずに自分から探しに行くことが大事かなと思います。私は19歳のとき、自分がやりたいと思うことを少しずつでもやってみよう、思ってることを言ってみようと決めて、行動に移しました。ただ、私は、ミッションって完成しなくてもいいと思うんです。私は毎日が実験だと思っていて、自分が抱いた感情を投げかけた"その先"を知りたいんです。良いとか悪いとかではなく、先に進んでいることが楽しいんですよね。ミッションに向かうことでワクワクのエネルギーが得られているなら、別にクリアしなくたっていい。だって、生きているだけですごいことですよね!
"ミッション"について、さまざまな考え方に触れる機会となった本イベント。登壇者と参加者の年齢が近いこともあり、本編終了後の交流会では、和気あいあいと語り合う姿があちこちで見られました。
*記事の内容は取材当時のものです。