パナソニックの#はたらくってなんだろう
調理家電と毎月お届けする厳選食材 新たな食との出会い、楽しさを提供~『foodable』家電と食の体験型 D2C サブスクリプションサービス~

パナソニックグループにおいて革新的な商品・サービスに対して社内表彰を行う「パナソニック商品表彰」。Cross-Value Innovation(CV)賞は、従来の枠組みを超え、グループ内、グループ外の異なる強みの掛け合わせで、顧客価値を最大化するとともにイノベーションを起こすことが期待される商品に授与されます。今回受賞した家電と食材のサブスクリプションサービス「foodable(フーダブル)」は、食業界パートナーとの共創でごはんソムリエ厳選の銘柄米と最適な炊き方ができる炊飯器を提供する「全国ご当地米食べくらべ体験」をはじめ、月額3980円(税・送料込み)から全19コースをラインアップ。家電業界初のD2C*を導入したお客様とつながり続ける「エンゲージメント型ビジネス」を確立し、2021年6月のサービス開始以来大変好評を得ています。foodableの事業化をけん引してきた大宮さん、關さんに話を聞きました。
*D2C(Direct to Consumer):事業者・企業が企画立案、生産した製品を消費者に直接販売する方式。
プロフィール
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大宮 広義
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部
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關 智子
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部
目次
家電機能と食材、互いの価値を最大化 自宅にいながら手軽に本格食体験
自宅にいながら全国各地の銘柄米を食べ比べたり、まるでお店のような本格焼きたてパンで朝食を華やかに囲んだり――。初回に最新調理家電とこだわり食材をお届けし、その後毎月食材のみを定期配送するfoodableは、近年若年層に定着している「モノの所有から利用へ」という価値観の変化に応え、「新たな食との出会い、楽しさ」を提供する新機軸サービスを打ち出しました。家電と食材を組み合わせた食の体験価値というfoodableの独創性の基盤となったのは、先行で立ち上げた食のSNSコミュニティーサイト「EATPICK(イートピック)」(会員数約32万人【2023年2月現在】)でした。サイト上で調理家電を活用したアレンジレシピ考案を投稿するなど、多種多彩な食の楽しみ方をされているユーザーに着目。これまで家電開発で重視していた機能追求に加え「体験の楽しさ」に新たな活路を見出しました。さらにfoodableサービス開始前に食品会社42社とパートナー契約を結び、全国各地の厳選食材を販売するECサイト「EATPICKマルシェ」を独自構築。バラエティーに富んだ食の体験コースに欠かせない食材の提供パートナーを事前に確保しました。
商品企画第1号は「おどり炊き*」を搭載した炊飯器と銘柄米食べ比べ体験コースでした。当時数十銘柄の炊き分け機能を搭載していたものの、市場に流通する米は品種が少なく5㎏が中心。これでは量が多すぎて気軽に機能を試すことができないと考え、全国銘柄米を精米仕立てで真空パックし、2合食べきりサイズで提供されている、くりや株式会社様と連携。炊き分け機能と銘柄米、互いの良さを最大限引き出し、仮説検証で一定の反応を得られたことを足掛かりに2021年6月サービスイン。この銘柄米食べ比べ体験コースは全19コース(2023年2月現在)の中で最も多くのご契約をいただいています。
家電業界初のD2Cサービスを実現 お客様とつながり、お役立ちを継続
従来の家電販売は量販店などを介してお客様に販売するB2B2C(Business to Business to Consumer)が主流でした。今回のfoodableサービスは製造者がダイレクトに消費者と取り引きを行う家電業界初のD2C(Direct to Consumer)導入により、エンゲージメント型ビジネスモデルを確立、体験価値の最大化に成功しました。また、契約後もEATPICKを通じてお客様からの投稿から反応やニーズをいち早く商品サービスに反映してお役立ちができるのも強みで、コースの中にはユーザーの声から生まれた商品もあります。
体験コースごとに最低利用期間(6~24カ月)が設けられていますが、これまで満期継続率は95%以上に達しており非常に高い満足度を獲得していると言えます。満期後は最大25%の割引価格で継続利用でき、家電が気に入ればそのまま買い取りも可能です。パナソニックの調理家電を既に購入済みの方にもお楽しみいただけるように、食材のみを提供する「フードのみプラン」を2022年10月に新設、foodableならではの食体験の場をさらに押し広げています。
特許権利化で他社参入を阻止 毎月の食材選択が可能に
異業種である食材販売、サブスクリプションサービス導入というこれまで知見が少ない新規事業に挑戦し、いかに壁を乗り越えられたのか。その要因は主に二つあります。一つは食材販売の特許権利化です。食材を出品する食品会社に食品衛生法、在庫管理などの食品販売責任を任せるパートナー関係を構築するとともに、当社は家電と食材のセット商品を交換できる権利を付与し、お客様はその権利を使い食品会社から商品を買い取る仕組みと、多種多彩な食材を毎月選択できる方法を権利化。これにより競合他社からの参入阻止だけでなく、お客様へのサービス向上につなげることができました。
もう一つは、EATPICKマルシェのアジャイル開発です。既に組みあがっている雛形サイトを提供するASP(Application Service Provider)と契約し、当社仕様に合わせてカスタマイズを依頼。食品会社との契約が円滑に進められ早期の事業立ち上げを実現しました。調理家電には食材が欠かせず、調理家電だけではお客様のニーズを実現しきれない。一方食材も最適な調理方法を実現できるのは調理家電であり、双方が一緒に価値がつくれないかと、熱心に語り共通理解を得ることで業界初の体験型サービス導入を成功に導きました。「食は深く掘れば掘るほど、伸びしろがある魅力的な世界」と2人は口をそろえます。「food」と「able」で新しい食体験を可能にするというfoodableの魅力を発信するために、業界の垣根を越えた食サービスの集合体として新たな体験価値を共創していきます。
新規事業の成功へ信頼構築 「日に新た」の創業者の想いを体現
大宮 広義 [サービス事業企画]
ECサイトの機能強化を図るため、部内メンバーでシステム開発を完結できたことに大きな意義を感じています。これまで家電開発を担当していたメンバーにとって、サーバーシステムの構築は全くの畑違い。たとえ知見がない分野でも貪欲に学び取ろうとする探求心が高いメンバーでしたから飲みこみも早い。個々が自発的にスキルを身に付け、組織力を高められたおかげで難所の一つを切り抜けることができました。
今回の新規事業への挑戦を通じて、創業者の想いが結ぶ組織力の強さを改めて実感しています。一人一人の社員が「お客様大事」を大切にし、行動指針として根付いているから、どのような局面にも「どう考え、どう行動するか」自ずと判断でき、個々が一つの方向に踏み出せます。想いに共感したメンバーが結集すれば大きなベクトルとなり、新たな事業領域にも果敢に挑戦できると考えます。これまで家電開発で蓄積した技術リソースも競争力を高める武器になりえるでしょう。私が常に胸に刻む創業者の想いは「日に新た」「衆知を集める」。新たなより良い方法を生み出し続けるために、自らの行動で体現して全く新しい事業領域を通じた社会貢献につなげていきます。
業界の垣根を越えるチームワークで 新しい食体験を共創
關 智子 [サービス事業企画]
foodableの体験コースを企画する際、常に大切にしているのは、くらしのイメージ解像度を高め、食による楽しさを追求すること。家族あるいは単身の方がfoodableをご活用いただくとこんな充実した楽しい時間を過ごせるという具体的なゴールを設定し、そのために必要な家電、食材をパートナーの食品会社、パナソニックの知見、アイデアを互いに出し合い議論してきました。実は「おうちで平日夜もゆったりごはん体験」というコースは私自身の体験をもとに提案したサービスです。二児の子育て真っ最中で仕事が終わると大量の家事・育児に追われる毎日。販売後に同世代の契約者から「こんなサービスがほしかった」と反響をいただき、ターゲットや生活のイメージがより具体的であればあるほど、共感を生むサービスになると自信を深められました。
私はこれまでのキャリアで異業種の方を巻き込んだプロジェクトを数多く経験してきました。国内有数のグラフィックデザイナーと商品企画をした際は意外性に富んだ発想力に驚き、別角度で考える面白さに目覚めました。パナソニックは事業規模が大きく、社内外第一線のプロをはじめ、多様なバックグラウンドを持つメンバーと仕事ができるチャンスがあります。新たな学びと刺激を積極的に取り入れながら、今後も事業を大きく成長させていきたいです。
製品名 | 『foodable』家電と食の体験型 D2C サブスクリプションサービス |
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担当 | パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 |
*所属・内容等は取材当時(2022年11月)のものです。
*「おどり炊き」:最新機種 SR-VSX101は、63銘柄の個性を存分に引き出す「銘柄炊き分け」機能を搭載。米の銘柄を選ぶだけでその銘柄に合わせた最適な炊飯が行える。