パナソニックの人 伴 寛之

 仕事場と伴 寛之さん

法務の仕事を通して、
人や社会の役に立ちたい。

法務 伴 寛之

「プロのサッカー選手になることが、夢でした」。そう語る伴寛之は、小3からサッカーを始め、中学は全国ベスト8、高校は全国ベスト4に入る強豪校に進学。来る日も来る日も練習に打ち込んだ。しかし、高3の秋に迎えた全国高校サッカー選手権大会で、チームは予選敗退。その試合、彼は一度もピッチに立つことなく試合終了のホイッスルを聞いた。「結局レギュラーにはなれず、人生ではじめて挫折というものを経験しました。でも、目標を持ち努力し続けることが成長やたのしさにつながること、どんな時でもチームのためにできることがあることなど、サッカーから学んだことは、私のバックボーンになっています」。

笑顔で会話する伴 寛之さん

彼は、目標を進学に切り替えた。医師をしている祖父を見て、子どもの頃から人の役に立つ仕事に就きたいと思っていた。文系が得意なため、医師よりも法律家として人の役に立とうと思い法学部を受験。見事合格した。そして、大学で法律を学ぶうちに、分かってきたことがあった。自分が本当になりたいのは、弁護士や司法書士など法律の専門家ではなく、法律の知識や英語力を使って、人や社会の役に立てるビジネスパーソンなのだと。

就職活動は、メーカーに絞ってアプローチした。パナソニックを選んだのは、家から街、クルマまで幅広い商品・サービスを提供しているため、より多くの人に役立つ仕事ができると考えたからだ。また、先輩社員の方々とのお話を通して、言いたいことが言えるフランクな雰囲気にも好印象を持った。

入社後に配属されたのは、照明や住宅建材などを扱う部門の法務部リーガルセンター。ここで、企業法務の基本を学んだ。2年目は、指導係の先輩が異動となり、突然、債権管理の主担当に。販売代理店やその先の工務店などの売掛金の回収をどうするか。経理部からの依頼に対し、法律の知識をもとに的確なアドバイスで事案を解決する大役だ。彼は、経理部の債権管理の部長と一緒にこの仕事にあたった。「部長は金融機関で働いた経験があり、勉強熱心で厳しい方でした。何とか、この人の要望に応え、早く一人前になれるようにと必死で頑張りました」。そして、債権管理において「自分の見解や対応にしっかりとした根拠を持つこと。法律だけでなく、事業やビジネスの背景を理解すること」の重要性を叩き込まれた。「部長の言葉は経験からくる説得力があり、自分の基礎をつくる上で大切なことを沢山学ばせていただきました」。

パソコンで作業する伴 寛之さん

その後、他の部署に異動し国際カルテル事案の担当を経験したことで、米国をはじめ他国の法律を理解することの必要性を痛感した。そして、グローバルに対応できる人材になるために海外留学を決意。社内の制度を活用し、米国ロースクールに留学した。「米国の法律や制度を勉強することはもちろん、世界中のさまざまな国から留学する弁護士とネットワークをつくることができて、仕事だけでなく、自分自身の人生にとっても非常に大きな経験となりました。また、留学中にNY州弁護士資格も取得することができ、会社には本当に感謝しています」。

帰国後、ビッグプロジェクトが彼を待っていた。パナソニックの成長事業として内外から注目を集め、多額の投資をしていた車載電池事業。その事業において、クルマメーカーのトヨタ自動車株式会社との合弁会社を設立するプロジェクトメンバーに抜擢された。そのニュースが日経新聞の1面に掲載されたのを見て、彼の心は高鳴った。「何としてでも、このプロジェクトを成功させねば」と誓った。初めての大きなプロジェクトに最初は戸惑うこともあったが、経験豊富な上司や周囲のメンバーに支えられながら、少しずつチームの力となっていく。法務メンバーは大阪と横浜に、事業のメンバーは加西・洲本・横浜や中国・米国・欧州など拠点がバラバラだったが、どうすればプロジェクトが上手く進むのかを考えながら、法務メンバーの推進役となり、ビジネスメンバーそれぞれの考えや抱えている課題の橋渡しをしていった。法的な対応から社内的な調整や交渉など、求められる事項は多岐に渡ったが、メンバーと協力してやり遂げた。そして、2020年、合弁会社が誕生した。「プロジェクトメンバーの一員として、プロジェクトの初期的な対応から契約のクロージングまで、さまざまな対応をやり切れたことは、大きな自信と経験を得ることができたと思っています」と、彼は晴れやかな表情で語った。

笑顔の伴 寛之さん

現在、課の責任者となった彼は、部下を指導しながら合弁会社の法務サポートを担当。お客さまやサプライヤーとの契約内容の検討、書類作成や、日々生じる法律相談の対応などを行っている。パナソニックに入社して16年目。法務一筋に歩んで来た彼の夢は、入社時から変わっていない。法務の仕事で、会社という枠組みを通じて多くの人や社会に役立つことだ。「自分が持つ法律知識・スキル、ビジネス経験、グローバルな対応力を活かして、日本だけでなく世界を舞台に戦い、事業に役立てるビジネスパーソンになりたいと思っています」。

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