パナソニックの#はたらくってなんだろう 人とモビリティの新たな関係を創る「くらしアップデート」企業へ

笑顔の小日向 拓也さん

2018年に創業100周年を迎え、従来の家電を中心にした「モノ売り」のビジネスモデルから「くらしアップデート」企業へと変革を進めているパナソニック。そのなかでも、人の生活圏にフォーカスしたモビリティソリューションを提供することで、人とコミュニティーの新たな可能性を切り開くとともに、同社の新たな柱となる事業を生み出すことを期待されているのがモビリティ事業戦略室です。同室が描くモビリティの将来像や現在の取り組み、ここで仕事をするからこそ得られるキャリアについて、室長の小日向氏にお話を伺いました。

2022年01月

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プロフィール

  • 小日向 拓也

    パナソニック ホールディングス株式会社

    小日向 拓也さんのプロフィール画像

「エリアモビリティ」「eフリート」「社会インフラ」の3本柱

はじめに、モビリティ事業戦略室の設立経緯と役割を教えてください。

2018年にパナソニックが創業100周年を迎えるにあたり、「次の100年も競争力を保ち続けるには、もう一度、お客様のくらしの中の困り事にフォーカスして、それを解決できる企業にならないといけない」という議論がなされ、3つの挑戦領域の1つとして「モビリティ」が挙げられました。

モビリティは、これまでの100年で起こってきた進化に匹敵する大きな変化が今後10年で起きるといわれるほど激動している領域。私たちの生活を劇的に変える可能性を秘めたこの領域で新たな挑戦をし、会社を変えていこう。そう考え、2019年1月に社長直轄の組織として設立されたのがモビリティ事業戦略室です。

役割は一言で言えば、「モビリティの変化を捉えつつ、この領域において長期的視点でパナソニックの将来の柱となる事業を創ること」です。

パナソニックには自動車産業向け製品の開発を担うオートモーティブ社があります。モビリティ事業戦略室がオートモーティブ社のなかではなく、「社長直轄の組織」として設立された理由はどこにあるのでしょう。

オートモーティブ社は、自動車メーカーに対して品質の良い製品をお届けするのに最適なビジネスモデルとそれにあった組織になっています。それに対し、モビリティ事業戦略室は、自動車の領域に限らず、新しいビジネスモデルを自由にデザインできるように、社長直轄の組織として立ち上げられました。

また、パナソニックグループには多岐にわたる事業分野がありますので、オートモーティブ社の中に納まっているよりも、グループ内のさまざまな事業分野へリーチしやすいというのも理由の一つです。

モビリティ事業戦略室が描く「モビリティの将来像」についてお聞かせください。

私たちは「Last 10-mile(ラスト10マイル)」というコンセプトを掲げています。パナソニックはこれまで、「家の中」にフォーカスして事業を行ってきました。その視点を「人の生活圏=Last 10-mile」まで広げ、人のくらしを起点に「移動のあり方」を見つめ直す。そして、そのなかで求められるモビリティソリューションを提供することで、「人」「コミュニティー」「地球」を元気にすることを目指します。

将来的には、テクノロジーの導入により、街を従来の「車中心」から「人中心」に変えていきたいと考えています。例えば、現在は道路を中心に人が生活する場が決められていますが、それを逆転し、生活している人を中心に、その周りを車や低速モビリティなどが動く、そんな未来を見据えています。

こうした未来を思い描くうえで大事なのが、「Can」から「Will」への発想起点の転換です。従来、パナソニックでは、「こういう技術があるからそれを事業にしよう」という「Can」の発想になりがちでした。今後はそうではなく、「こういう世の中にしていくためにどのような技術が必要か」という「Will」の発想を起点にしていくことを重視していきます。

具体的にどのような取り組みに注力しているのでしょうか。

モビリティのなかでも、私たちの競争力が生かせること、またお客様にペイン(悩み・痛み)がある3つの領域に絞って取り組みを進めています。

1つ目は「エリアモビリティ」です。これは街なかをはじめ、団地や工場、企業の構内、観光地などの限定エリアの移動にまつわるお悩みに対応するもの。街づくりに関わる方々や企業・デベロッパーに寄り添いながら、自動化技術を使って企画から運営までワンストップでサポートします。特に日本国内では高齢化が進むとともに交通弱者が増加しており、課題の解決は急務となっています。

2つ目は「eフリート」です。私たちの生活圏の中で輸送や送迎などに幅広く用いられている商用車(フリート)は、今後、ますます電動化が進みます。配送業者や企業・自治体に向け、eフリートの導入・運用をサポートするとともに、より一層の普及を後押しするソリューションを提供します。

3つ目が「社会インフラ」。そのなかでも、特に意識しているのは「コネクティビティ」です。車と道路を通信でつなげて情報を吸い上げ、それを社会インフラとして使えるデジタルプラットフォームを構築。そのデータを安全対策や交通インフラの管理に役立てるのみならず、住民や行政、地域の事業者とともに活用し、より良い社会をデザインしていきます。

「経験・スキルの多様化」と「リーダー人材育成」が成長のカギ

インタビューに答える小日向 拓也さん

取り組みを進めるうえで、パナソニックの強みとなるのはどんなところですか。

これも3つあると考えます。1つは、パナソニックグループがこれまでの商品開発のなかで培ってきた「技術やノウハウの蓄積」です。例えば電池に関しては、当社は30年以上にわたり、化学材料の開発からモノづくりまで全て行ってきたほか、その電池を用いる商品を数多く世の中に送り出してきた実績があります。こうしたノウハウはeフリートの分野で大いに生かすことができ、電池の状態分析や余寿命の推定、異常予兆の検知などを行い、電動車に最適な運用方法をご提案できます。

電池に限らず、ロボティクスやAIといった最先端の技術も豊富に有しており、グループの技術・ノウハウを自在に活用できるのは私たちの大きな利点です。

2つ目は、「グローバルにまたがるリソースやパートナーシップ」です。モビリティは地域によって異なる進化をしますが、私たちは長年、事業を展開するなかで、世界中のさまざまな地域に開発・製造・販売の拠点を持ち、経営理念まで深く共有する仲間も得てきました。そうしたリソースやパートナーシップを生かしつつ、各地域に合ったモビリティの課題解決に挑んでいけます。

3つ目は、パナソニックグループの持つ「安心・信頼のブランド力」です。新しい提案を行う際も、お客様企業のドアは、パナソニックに対しては常に開いている。ドアを開けることに労力を使わず、一歩先の地点からスタートできます。特にモビリティは高度な安心・信頼を求められるものだけに、長年培ってきたブランド力は重要な足がかりとなっています。

モビリティ事業戦略室は今後、どのように進化・成長していこうとしているのでしょうか。

最初の3年間は、まず領域を決めて、仮説検証を繰り返しながらタネになるものをつくり出すフェーズと考えています。現在、グローバルで見ると10以上のプロジェクトが進行中で、次の数年間はそれら一つ一つを着実に競争力のある事業として立ち上げるフェーズになります。将来的には、事業と事業がシナジーを生み出して、より大きな価値を生み出す「群」へと進化させていくイメージを描いています。

小日向さんが考える、ビジョン実現のカギとは何でしょうか。

まず、「経験・スキルの多様化」は急務です。モビリティ単体が価値を生むことには限界があり、他の業界や領域と掛け合わせて新たな価値をつくり出すことが求められます。

例えばeフリートの普及には、単にそれをつくって売り、使ってもらうだけでなく、メンテナンスや保険、中古市場などのトータルバリューチェーンが必要になります。そうした仕組みづくりを自ら仕掛けていかなければならない。となると、私たちがこれまで経験したことのない事業領域の知識や経験・スキルが必要になってきます。

もう一つ、「リーダー人材の育成」も重要です。今後、一つ一つのプロジェクトを事業化していくうえで、「自分の事業」として引っ張っていける、いわば「小さな事業のCEO」といえる人材が不可欠となります。そうした人材の数が事業化できるプロジェクトの数を決定づけるだけに、現在育成に力を入れています。

事業を構想するだけでなく、自らの手でやりとげられる醍醐味

説明する小日向 拓也さん

現在、モビリティ事業戦略室では具体的にどんなプロジェクトが進行中ですか。

プロジェクトには大きく3つの傾向があります。1つは「グローバルでチームを組んで、パートナーと事業を共創するプロジェクト」です。

例えば、中国では現地のデジタル地図の会社であるNavInfo(四維図新)と合弁会社を設立して、eフリート向けの運用ソリューション事業を行っています。前述したように、事業化するにはモビリティ単体ではなくバリューチェーンをつくらなくてはならない。そこで、合弁会社で提供するソリューションを足がかりに、新たな領域へ事業を広げていこうとしています。今後は中国での経験を生かして、国内やアジアで事業開発するケースも増えていくでしょう。

2つ目は「最先端技術を社会に実装していくプロジェクト」です。一例が、神奈川県藤沢市のパナソニック工場跡地で2014年に街開きをした「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」です。ここでは100年先を見据えて官民一体でサスティナブルな街づくりを行っており、実際に約560世帯もの家族が生活しています。そのなかで、薬局から患者へ医薬品を届ける小型低速ロボット配送サービスなど、さまざまなソリューションを展開。最先端技術を社会に実装するときに何が課題になるか、どんなサービスがあるといいかを、住民の方々と一緒に考え、つくり上げています。

3つ目は「街にフォーカスしたコミュニティーづくりのプロジェクト」です。今の街は昔に比べ、人と人とのつながりが薄れ、お互いが助け合う「共助」が減ってきているように感じています。そこで、先端のデジタルを使って、新しい共助の形を生み出せないか、さまざまなトライアルを行っています。

小日向さんが感じる仕事のやりがいや醍醐味について教えてください。

まずは、パナソニックの持つ幅広い技術とパートナー企業の強みを掛け合わせて、「どれほど社会に大きなインパクトがある事業を創れるか」を構想できるのは非常に面白いですね。ただ口で言うだけでなく、自分たちの手で仕掛けて実行までできるので、やりがいもひとしおです。

もちろん、自動車メーカーを通じてモビリティに変化を与えるというアプローチもあります。私自身も長年オートモーティブ事業に関わってきましたので、その楽しさも理解しています。モビリティ事業戦略室では、自分たち自身が主役となって、目指すモビリティ社会を思い描き、創っていける。そうした面白さは当室ならではだと思います。

モビリティ事業戦略室だからこそ得られるスキルや経験にはどんなものがありますか。

まず、ビジネスモデルをゼロから考え、それを自分の手で創り上げていく経験は間違いなくできます。先ほども言いましたが、一人一人が自分の事業のCEO、CxOとして仕事をすることが求められるため、そういった経験を積みたい方には魅力的な環境でしょう。

もちろん、スタートアップ企業でチャレンジする道もあると思いますが、最初は資金集めに奔走せざるを得ず、やりたいことに集中できないケースもあるはずです。その点、モビリティ事業戦略室では、パナソニックの豊富なリソースにリーチしながら、最初から事業創りに奔走できます。

また、スケールの大きな仕事を経験できるのもパナソニックならではだと感じます。例えば、現在インドで進めているプロジェクトでは、インド政府や地元のスタートアップ企業を巻き込みながら座組を作り、大きな社会課題と向き合っています。国内にとどまらず、グローバル規模で事業創りにチャレンジできる機会はそうそうないでしょう。

「自ら仕掛けられる人」とともに、社会にインパクトをもたらしたい

仕事場と小日向 拓也さん

モビリティ事業戦略室では、どのような人材を求めているのでしょうか。

第一に、「自ら仕掛けられる人」ですね。「パナソニックの技術を外部の強みと掛け合わせて、こんなチャレンジがしたい」「社会にこんなインパクトをもたらしたい」という強い思いをお持ちの方にぜひ仲間になっていただきたいです。

また、「最後までコミットしてやりきる力」も重要です。繰り返しになりますが、当室の仕事は「戦略を立案して終わり」ではありません。それを自分たちの手で実行して、事業として収益が出るところまで持っていくことが求められます。その過程ではさまざまな困難や失敗もあるでしょうが、そこを粘り強く乗り越えて、成功するまで何としてもやり抜くという気持ちが不可欠です。

加えて、「技術と経営マインドを両方持ち合わせている方」も大歓迎です。「自分はこの専門分野しかやらない」と自らの領域に閉じてしまうのではなく、「技術を使って事業を創り上げる」ところにモチベーションを感じて前向きにチャレンジできる方にとって、絶好の環境だとお約束します。

実際、モビリティ事業戦略室にはどんなバックグラウンドを持った人材が集まっているのでしょうか。

コンサルティングや通信業界のほか、投資会社でベンチャー投資を行っていた方、海外に駐在してIoT関連の仕事をしていた方など、非常に幅広い経歴のメンバーが転職されてきています。

また、パナソニックグループのなかからも、オートモーティブの仕事をしていた人や電池の先行技術の開発者、AI技術者など、さまざまな人材が結集。メンバーのなかには、兼務という形で自分の専門部署で仕事をしながら私たちの事業に参画している者も多くいます。

このように「多様性」にあふれる組織で、誰もが互いの強みを引き出し合って価値を生み出そうと考えているため、自分の意見を自由に言えるフラットな環境づくりを心掛けています。また、社長直轄の組織ということもあって、PDCAが速く、一人一人の裁量権が大きいのも特徴と言えるでしょう。

最後に、記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

私たちはパナソニックの持つあらゆる技術・ノウハウと、パートナーの強みを掛け合わせて、モビリティの変化を捉えて、10年後、20年後の社会にインパクトを与えられるような事業を創りたいと考えています。そこに共感して、一緒にやってみたいと思ってくださる方、そして本気で社会を変えていきたいと強く思う方は、ぜひともお話だけでも聞きに応募していただけたらと思います。

出典:ビズリーチ 公募ページ「パナソニック株式会社」(2021年11月14日公開)より転載
https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/pldxoyn/

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*記事の内容は取材当時(2021年9月)のものです。

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